1 陰キャ喪女だって恋したい!

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総務で働く私が宮田君を見れる機会は限られちゃうから、事務用品の納品だったり、書類を届けたり… 出歩く用事を色々作っては会社内を探している。 中小企業で会社がそれほど大きくないとは言え、外回りの多い営業部の彼を見られる日は結構ラッキーだ。 推し様、発見! 社員が休憩時間に集まってくる飲食スペースで、相変わらず人に囲まれた彼は笑っていた。 不自然でないように、室内の観葉植物に水を与えながら様子を伺う。 どうやらまた合コンに行ったらしい。 いまいち好みがいなかったのか、リベンジの話をしていた。 ああ、気持ちだけなら合コンで知り合うような女の子、敵じゃないのに。 例えば不発だった合コン帰りにたまたま彼と出会って、2人で飲み直そう!って話になって。「他部署で話した事なかったけど、立花さんって話しやすくていいな」なんて言われちゃったりして…! そのまま宮田君が手を握ってきて……!!! ヤバイヤバイ。妄想してる時は顔がにやけちゃうからもう持ち場に帰ろう。 そう思ってその場を離れる間際、宮田君達の声が耳に届いた。 「この間の子、絶対宮田のこと狙ってたのになー」 「なんで据え膳しとかなかったん?」 「あー、顔は可愛かったけど…。俺、肌が汚い子無理なんだよね。手抜きしてる感じがモロに出ちゃってるってのが」 推しは事も無げに答えていた。周りの陽キャ達は「ひでー」とか「まぁ確かになぁ」とか好き勝手に話してる。私は冷や汗が止まらなかった。 ー 推し様、宮田様。それって私の事でしょうか…?! - 長く伸ばした前髪に隠した、おでこのニキビをそっと触った。 そのまま頬まで手を下ろせば、触り心地の全く良くない荒れた肌に脳内で警鐘が鳴る。 「女なら最低限、肌くらい綺麗にする努力して欲しいよなー」 頭を金槌で思いっきり殴られたような衝撃だった。 推しが横目で私を見ながら言っているような気さえする… その日はデスクへ戻ってどう仕事をこなしたか全く憶えていない。 消灯の時間まで呆けていたらしく、残業していたらしい別部署の上司に声を掛けられるまで会社のボロパソコンと一緒に仲良くフリーズしていた。
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