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「やーっぱ凝ってるわね。あかりちゃん、ちゃんと湯舟には浸かってる?」
だめよ、シャワーで済ませてばかりじゃあ。そう言いながら春斗は私の腰を優しく揉んでいる。あ、鼻血出そうとか嘘だったわ。そんなエロい展開じゃなかった、うん。…今なら泣けるよ、私?
「ねぇ春斗。一応確認するんだけど、これってもしかして」
「マッサージだけど?」
「だよねー!」
一瞬でも春斗に抱かれるかもなんて、何で想像しちゃったんだろう。
顔から火が出そうなくらい恥ずかしい。今の体勢がうつ伏せで本当に良かった。頼むから顔は見ないで欲しい。
「駄目ね、あかりちゃん身体固まり過ぎ。今から湯舟に20分は浸かってきて!」
「え、お風呂?」
「そう。このままマッサージしたって効果半減よ。さぁ、早く!」
浴室まで追いやられ、仕方なしに湯舟にお湯を張り始める。
ってか浴室ガラス張り…?!
春斗がこっち見てないとはいえ、恥ずかし過ぎる…
まぁエッチしてたかもしれないことを考えたら、今更か。
さっさと服を脱いで、まだお湯の浅い浴槽に腰かけた。
お湯が溜まるまで…ちょっと目を閉じてよう。
今日はあり得ない事の連続過ぎて、完全にキャパオーバー…か、も…
「あ…り、あか…り、あかり、あかり!!」
「…ほぇ?」
身体を引っ張り上げられ、衝撃に目を覚ます。
あれ、お風呂に入って…、それから?
「お風呂で寝るのって、気を失ってるってことなのよ。もう、心配させないでよ…」
「ごめ…ちょっと目を閉じただけのつもりだったんだけど…」
ふらふらする頭に手を当て、反省していると。
そういえば一糸纏わぬ姿だったじゃん☆って思い出して。
「はる、と…お願いだから、バスローブちょうだい…!」
「え…あ」
そこでやっと春斗も私が裸なのに気付いたみたいで。
慌ててバスローブを渡して目を伏せてくれた。
うん、そういう小動物っぽい態度は中学生の頃と同じだわ。
バスローブを着てしっかり紐を占めると、春斗へ向き直った。
「さ、師匠。もう大丈夫だから続きをお願いします」
「…その切り替えの早さもあかりちゃんだよね。うん、じゃあベッドに戻ろっか」
その夜はこれでもかってくらいの丁寧なマッサージを受けて、自分で出来るマッサージ方法や就寝前のストレッチ、フェイスパック、そして何より睡眠時間の大切さのレクチャーを受けた後、二人で広いベッドで寝た。
うん、清々しいくらい、何もなかった。
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