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4 喪女、脱却させて頂きます。
春斗とラブホに入って教えを受けたのが大体3ヶ月前の話。
今は推し…宮田君を探して社内を徘徊していた頃の立花あかりじゃあない。
二次元彼氏には必要無かったスキンケアを毎晩行い、睡眠時間もたっぷり確保。寝る前のストレッチは良い感じに疲れるらしく、気持ち良く眠れた。
大好きだったチョコレートを食べる量も減らしたら、徐々に肌の荒れとニキビの状態が良くなっていった。
出社するのにも睡眠時間が増えたおかげで朝が一時間以上早く起きられるようになった。
化粧水から丁寧にお肌の手入れを始めて、フルメイクして出勤出来る。
自然と猫背は背筋が伸びたし、肌に自信が持てたから髪もバッサリ切ってしまった。徐々に変わったから同じ部署の人にはあまり気付かれないが、他部署の人が総務に来ると「あんな女の子いたっけ?」と首を傾げられた。
春斗のおかげだ。今は純粋に、女に生まれたことを楽しんでいる。
あの日からまめに連絡を取って、師匠の教えを受けている。挫けそうになっても、春斗が励まし続けてくれたから頑張れた。
「ねぇ、君。えっと、立花さんだよね?」
「はい?」
呼ばれて振り向くと、推しの王子…もとい宮田君が立っていた。
声を掛けられるまで気付かなかった自分に驚いた。いつも私の方が、彼を見ていたはずなのに。
宮田君はちょっと照れたように笑った。
…うん、可笑しい。前なら確実に鼻血ものだった。
女として余裕が出来たから、こんなに落ち着いているのかしら?
「立花さん、最近すごく綺麗になったなぁって思って」
「えっと…」
「あ、急にごめん。彼氏でも出来たのかなって…、もし違うなら、俺とご飯でも行かない?」
ずっと好きだった宮田君の言葉。言われたかった言葉。
「綺麗になったね」
ずっと言って欲しかったのに、何でこんなに冷静なんだろう。
「宮田君、あのね…」
ニキビが無くなると、テンションも無くなってしまうのだろうか。
私の心はもうバグっているとしか思えない。
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