第2話 カフェ『うるわしの里』は大忙し

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第2話 カフェ『うるわしの里』は大忙し

「おーい司朗くーん! いるかい? 朝採れの野菜持ってきたよ!」  元気よくバターンとドアが開いて、まだ半分寝ぼけてカウンターに立っていた立夏はびくんとすくみ上った。  どうしてこの店を訪れる人たちはもう少し穏やかに出入りできないのか。 「あ、あの、司朗くんはちょっと出かけてまして……」 「おや? あんた、ここいらじゃ見ない顔だね」  客人は六十代くらいの男性だった。深さのある発泡スチロールの箱を抱えている。短く刈り込まれた高校球児のような髪型で、首にかけたくたびれたタオルでごしごしと額を流れる汗を拭った。 「あの、実は今日からこちらを手伝わせていただいてます」 「へえ、アルバイトさんかい。司朗くん、やるなあ」  いったい何が「やるなあ」なのか。リアクションに困って立夏は苦笑いするしかない。  だいたい司朗も司朗だ。店に出るのは正午から十七時まででいいとか言ったくせに、用事ができたとかで朝早くに起こされた。  電話で母を説得するので体力を消耗したのと、夜中まで原稿を書いていたこと、とどめに緊張で寝つきが悪かったことのトリプルコンボで、頭がすぐには回らない。  まだ半分夢の中で目を擦る立夏にすぐ戻るから留守番よろしくと言い置いて、さっさとどこかへ出かけてしまったのだった。  どうしたらいいのかおたおたする立夏をよそに、男性はどっこいしょと言いながら、慣れた様子で箱をカウンターの横に下ろした。  中には朝露に濡れてつやつやとみずみずしく光る野菜たちが入っていた。茄子にきゅうり、そして山盛りのトマト。立夏は思わず屈んで覗きこむ。 「わあ、おいしそうですね。トマトがすごいおっきい」 「うちのトマトは甘くてうまいよ。なんたって東京のほうにも出荷しているくらいだからな」 「きのう立夏さんが飲んだジュースも、そのトマトから作ったんですよ」  店の外から聞き覚えのある声がした。  いつの間に帰ってきたのか、ドアの向こうに籠を小脇に抱えた司朗が立っていた。 「お帰りなさい」 「おはようございます、菊池さん。いつもありがとうございます」 「おう」 「トマト、すっごくおいしかったです」 「ありがとさん。まだ配達があるから、じゃあな。午後に飯食いに来るよ」  タオルで汗を拭いながら、菊池は笑顔で去っていく。 「まさかこんな時間にお客さんが来ると思ってないからびっくりしたよ」 「すみません。そういえばお伝えしてませんでしたね。地元の農家の方がこうしていつも野菜を届けてくれるんです」 「あのおじさんの他にもいるの?」 「そうですね。あとは果樹園やハーブ園をされている方、それから養蜂家の方とも契約してますよ。豚肉や鶏肉、新鮮な生みたて卵を分けてくださる農家さんもいます。それと週に一回ですが、三陸の漁師さんからも新鮮な魚が届きます」 「へえ、すごいね」 「それより起きたついでに朝食でもどうですか? ちょうど卵を受け取りに行っていたんです」  司朗が小脇に抱えていた籠に被せていた古タオルを取ると、下から茶色の殻をした卵が幾つも現れた。 「生みたてほかほかですよ。触ってみますか?」 「いいの?」 「もちろん」  指先でそっと殻の表面に触れてみる。  伝わってきたのはじんわりとした温かさだった。想像よりずっと控えめで、けれどたしかに命が息づいていることを感じる温かさだった。 「すごい。ホントにあったかい」 「ホントでしょう? オムレツにすると最高ですよ」 「なんだか、食べちゃうのがかわいそうだね」 「その気持ちを忘れなければいいんだ、とぼくは思いますよ。それが動物でも植物でも、命を分けていただくことに感謝して生きる。それが人間らしい生き方なんじゃないでしょうか」  そこまで言って照れたのか、司朗はぽりぽりと頭を掻いた。 「なあんて、作家さんの前でかっこつけてみてもしまらないですね」 「ううん。すごく素敵だと思う」    立夏が真顔で言うと、ますます照れたように顔を背けて、司朗は椅子の背にかけていた藍染めのエプロンを身につけた。  いったんカウンターの奥に引っ込んだかと思うと、いつの間にか布の手袋を外して、薄手のビニールの手袋をはめて戻ってきた。お医者さんが使っているようなやつだ。  どうして四六時中手袋をはめているのか気になったが、知り合って間もないうちから果たして聞いていいものかどうなのか。もじもじしているうちにどんどん時間ばかりが過ぎていく。 「朝食の準備、手伝ってもらえますか?」 「あっ、うん。でも、わたしにできることある?」 「もちろん。トマトときゅうりを洗って、食べやすく切ってください」 「あ、それならできそう」  隣に立つ立夏に、司朗は丸々としたトマトと、はちきれんばかりにみずみずしいきゅうりを渡してくれる。 「痛っ」 「大丈夫ですか?」 「うん。ちょっとびっくりしただけ。このきゅうりのトゲトゲ、すごいね」 「新鮮な証拠ですよ。鮮度が落ちると、トゲが取れてしまうんです」 「へえ~」  しげしげときゅうりを眺める立夏を、司朗がじっと見つめる。 「……もしかして立夏さんって、あんまり料理しない方です?」 「うっ。ずっと実家にパラサイトだったから、ついつい親に甘えて……」  塩をかけられた青菜のように立夏はうなだれた。 「アラサーにもなって、かっこ悪いよね」 「いいえ。現代人はみんな忙しいですからね。でも料理なんて、気負わずに簡単なものから覚えていけばいいんですよ。おいしくいただけたらいいんですから」 「……面目ないです。あの、わたし、あんまり器用じゃないんだけど、教えてくれる?」  おそるおそる訊いてみる、 「喜んで」  司朗は嬉しそうに笑った。 「朝ご飯は、ほかに何作るの?」 「小岩井農場のリコッタリーズ入りのパンケーキと、地元の生みたて卵のオムレツ。新鮮な野菜サラダを添えて」 「わあお、豪華」 「でしょう? おいしいですよ」  きのうまで名前も顔も知らなかった年下の青年と、こうして並んで料理なんかしている。  おまけにその人の亡くなったおばあさんの服を借りたりなんかして。またそれが自分のものよりずっと明るい色づかいでおしゃれだったりする。 きれいな花柄のワンピースなんて、二十年ぶりくらいに着たかもしれない。  そんなおとぎ話のような事態がよもや自分の身に降りかかろうとは。  まだまだ人生、何が起こるかわからない。      * 「ケーキセットお待たせしました。岩手県産くるみのカップケーキと、同じく岩手県産りんごのチーズケーキです」  覚束ない手つきでテーブルに運ばれたスイーツに目を輝かせたのは、二人の子どもを連れた女性だ。 「わーい」 「すごくおいしそうですね。近所の友だちに聞いて、一度来てみたかったんです」 「そうなんですね。ありがとうございます」  完全に司朗の手柄なのだが、まるで自分のことのように嬉しい。思わず頬がゆるんでしまう。  正午のオープン時間を迎えると、古民家カフェ『うるわしの里』は大混雑となった。 「このメニューにある『うるしコーヒー』って何ですか?」 「あっ、それはですね。漆の木の実を焙煎したコーヒーです。ここの店長が試行錯誤して生み出した、自慢の逸品なんだそうです」  司朗にレクチャーしてもらいたての付け焼刃で、ヒヤヒヤしながら答える。 「へえ、珍しいですね。じゃあそれ、いただこうかな」 「おねえさーん。注文お願いしまーす」 「あっ、はい。ただいまー!」  周囲は民家もまばらな山里だというのに、ひっきりなしに客はやってくる。他に外食ができそうな店が見当たらないせいか、目のまわるような忙しさだ。 司朗が店員を欲しがったのも頷ける。 「司朗くん、夏野菜のパスタお願い。あと生みたて卵とハチミツのパンケーキひとつ」 「はーい」 「司朗くーん、追加でネギ味噌ラーメンとふわふわ卵のオムライスもお願―い」 「はいはーい」  おかげで司朗も厨房にこもりっきりだ。  ゆうべの眠りが深かったせいか、体を動かすのが不思議と楽しかった。  毎回絞め切り間際に徹夜するわけではないが、立夏は基本的に夜型だ。  いつも空がぼんやりと明るくなるまで原稿をしたり調べものをしたりしていてい、日の出とともに眠りにつく。 目が覚めるのはたいていお日様が真上を通過してからで、のろのろとコーヒーを飲んだりパンを かじったりしている間に、夕方近くになってしまうのが常だった。  なのに今朝は七時になるかならないかという時間に起こされて、しかもしっかり朝食を食べて、おまけに正午までがっつりと原稿してしまった。  おかげで残るはあと少しだけとなり、この分だと締め切りに余裕で間に合いそうなのだ。山里のおいしい空気と食事、おそるべしである。 「そういやお姉さん、作家さんなんだって? 司朗くんが言ってたよ」 「へっ!?」  厨房と店内を忙しく往復していたら、カウンター席から声をかけられた。  不意を衝かれて間抜けな声が出てしまう。  声の主は見覚えのない女性だった。髪はほとんど総白髪だが、肌はつやつやとしてハリがある。六十代後半か七十代前半くらいだろうか。 「おっ、このお嬢さんが噂の作家さんかい」  そう合いの手を入れたのは、夫婦なのか、つるりときれいに禿げ上がった頭の同年代の男性だ。 「え、えーと、司朗くんが……いったい何を?」 「うちね、このお店に卵をおろしてるんだけどね。そのときに聞いたのよ」 「ああ!」  そう言えば朝早く、司朗が卵をわけてもらいに出かけていったっけ。 「もう司朗くんてば、尊敬するすごい作家さんがうちにいるなんて嬉しそうに言うから、あたしら夫婦して気になっちゃって」 「いっ、いえ、別にすごくなんか……」  だらだらと背中を冷や汗が流れる。このパターンは非常によくある流れだ。  となると次に来る質問は決まっている。 「芥川賞とかに応募したりしてるの?」  ほら来た!  作家をしていると、一度くらいは誰でも遭遇するであろう質問なのだ。  ほとんどの作家は芥川賞や直木賞とは無縁です。おまけにあれらは新人賞ではないので、そもそも応募はできません。きっと同じような質問を、世のほとんどの作家は経験しているに違いない。 「い、いえ、さすがにそれは……ないですね」 「じゃあ、どんなの書いてるんだい? 〇村□太郎みたいなミステリーとか?」 「あの……しょ、少女小説というものなんですが……」 「少女の小説? 女の子が出てくる童話みたいなもんかい?」 「え、えーと。まあ、そのようなものです」  曖昧に笑ってごまかすのにも慣れたものだ。  ミステリーや純文学が他のジャンルより勝っているとか劣っているという問題でないのはわかっているが、ジャンルすら認知されていないのはちょっぴり切ない。 「何だか楽しそうだね」  フロア中央のテーブルに座って新聞を読んでいた年配の男性が、会話に混ざってくる。 「このお姉さん、絵本描いてるんだってよ」 「おやまあ、絵本作家さんかい? そりゃすごいねえ立派だねえ」 「あ、あの……」  この調子なら、地元住民の間で立夏のプロフィールは現実からどんどん乖離していくのは間違いなかった。      * 「あはははっ、それは大変でしたね」 「もう、笑いごとじゃないよ」 「くくっ、すみません」  塗箸を持ったままむくれる立夏と笑いをこらえる司朗を、ゆっくりと夜の闇が包んでゆく。  昼間はあれだけ騒がしかった店内にも、夕暮れとともに静寂が訪れた。聞こえてくるのは虫の声だけだ。さすがに日中はエアコンなしでは辛いが、暗くなると網戸を開けておくだけで充分に涼しい。  夜ご飯は夏野菜たっぷりの素麺だった。きゅうりとミョウガと大葉を細かく刻んでめんつゆで味つけした具だくさんのたれが掛けられ、仕上げに軽く炒った白ゴマがぱらりと振りかけられている。山形地方の郷土料理「だし」をヒントにしたそうだ。 それが漆塗りの椀に入れられて供されている。司朗は店や家で、漆器をよく使う。箸も漆で塗られた塗箸だ。 「いただきまーす」  野菜たっぷりのたれのおかげで、そうめんがするするのどを通ってゆく。 あっさりとしていて野菜の滋味にあふれ、ゴマの香りが食欲をそそる。久々の肉体労働で疲れた体のすみずみにまで、作り手のやさしさがしみ渡るようだ。 「よくあることだけど、どんなの書いてるのか本見せてよ、って言われて大変だったんだから」 「見せてあげたらいいじゃないですか」  白手袋をはめた手で品よく素麺をすすりながら、司朗はこともなげに言う。  さすがにムッときて、立夏はスマホで検索して自著の表紙を見せた。 「だ、だって表紙はこんなんだよ?」  見せたのは「魔法国のリリーシリーズ」という、立夏の作品の中ではもっとも長く続いているシリーズものだ。筆名は本名から取った「RIKKA」だ。  舞台は国民がほとんど魔法を使える国イングレス。そのイングレスの宮廷魔法使いの家系に生まれながらも、ほとんど魔法を使えない少女リリーが主人公である。  姉妹や級友たちからのいじめに耐えられず、家出同然に出奔したリリーは旅を続けながら様々な人間や魔物と出会い、人間的に成長してゆくのである。  その中で徐々に明らかになる彼女の力の秘密が、物語を牽引する大きな謎の一つだ。 「ぼくは素敵な表紙だと思いますよ」 「中身だってきっと、みんなが考えてるみたいな良いお話じゃなくって、王宮がどうとか魔法がどうとかいう絵空事の夢物語だし……」 「絵空事で夢物語だからこそ、素敵なんじゃないですか」  穏やかな表情でそう言われると、こんな些細なことに拘っている自分がバカみたいで、肩の力が抜けていく。  自分が好きで書いている物語世界を、子どもっぽいとか恥ずかしいと思ってしまった自分が情けなくなった。  立夏の本を買い支えてくれる読者たちにも申し訳ない気持ちに襲われる。 「司朗くんと話してると、前向きになれるから不思議だね」 「えっ、そうですか?」 「そうだよ。昨日から思ってたけど、司朗くんは人を調子に乗せる天才だよね。ホントに堅気の人?」 「ぶっ」  すすっていた素麺の欠片を噴出した司朗は、あわてておしぼりでテーブルを拭く。 「そ、そんなこと、生まれてはじめて言われました」 「ああー。でも明日から、あそこでは絵本作家が働いてるなんて噂が広まったら、どうしよう……」 「いいんじゃないですか? いっそのこと、本当に絵本を描いてみるとか」 「えっ」 「ダメですか?」 「ダメってわけじゃ……ないけど」  立夏は塗箸を置いて、夜空を見上げる。  網戸越しにそよそよと頬をくすぐる風が心地よい。 「そういえば、子どもの頃は絵本を書く人になりたかったんだっけ」 「絵本作家ではなく、小説家になったのは、どうしてですか?」  司朗が食後の麦茶を渡してくれる。 「うーん。どうしてだろう」  麦茶でのどを潤しながら、立夏は首を傾げる。 「はっきりとは覚えてないんだけど、小学生の頃だったかなあ。夏休みに見よう見まねで、画用紙にクレヨンで絵を描いて、エンピツでお話もつけて、手作りの絵本を作ったのね」 「小学生のときに? そりゃすごい。親御さんも驚いたんじゃないですか」 「それがねえ、そうでもなかったの。真っ先に母に見せに行ったんだけどね、『あらあらすごいわねえ』って言うだけで、ちゃんと読んでくれなかったの。まあそのときちょうど妹が生まれてまだ一年やそこらで、両親はそっちにかかりっきりだったから仕方ないんだけど」 「そうだったんですか……」 「しかもね、テーブルの上に置いておいたそれを妹が見つけて、びりびりに破いて口に入れちゃったのよ。しかも飲み込んじゃったから大騒ぎ。どうしてこんなところに置きっぱなしにするんだ、ってこってり叱られたわよね」 「それは……どうしようもないですよね」 「まあね。でもこうして、わたしの人生で最初の作品は、妹のおなかの中へと消えたのでした。それからかなあ、絵本を書こうって思わなくなったのは。相変わらずお話を考えるのは好きだったけど」  言いかけて、立夏はふと、首をかしげた。 「あっでも、中学生くらいのときだったかなあ……小さい子に頼まれて、絵本みたいな童話みたいなもの、書いたことがあったような気がするんだけど、いつの話だったかな。えーと……」 「物語を紡げる人は素敵だと思いますよ。ぼくは小さい頃、一人で過ごすことが多かったので、本が友だちでしたから」 「ご両親は共働きだったの?」 「ぼくが幼いときに両親が離婚したので、母はぼくを養いながら朝から晩まで働いていました。ぼくが小学生のときに母はぼくを連れて再婚しましたが、それでもやっぱり朝から晩まで父と一緒に働いていました。きっと根っからのじっとしていられない性分なんでしょうね」  司朗はふっと目を伏せた。  和紙のランプシェード越しに降りるおぼろな灯りが、司朗の顔に深い影を落とす。 「それもあって、毎年夏休みになるとぼくはこの町の母方の祖母の家に預けられていました。ここは祖母が亡くなる直前まで住んでいた家なんです」 「そうだったんだ。いいところだね」 「そうなんです。その辺の山でひとり遊びしているうちに、近所の子と知り合って友だちになったりして、真っ黒に日焼けするまで遊んでました。今でも彼らとは付き合いがあります」 「あはは。ほんと、子どもって一瞬で友だちになるよね」 「はい。それに、祖母は小学校の教師をしていたせいか、家には子ども向けの本がたくさんありました。暗くなったら、それを読むのが夏休みのもう一つの楽しみでしたよ」 「うわあ、うらやましい。うち、両親は本読まない人だし、祖父母はわたしが赤ちゃんのときに亡くなっちゃったからなあ」 「生前、祖母が言っていました。『子どもの本は、子どもに手渡すような気持ちで書かれたものがいい。説教くさいのなんかもってのほかだ』って」 「わたしも……そうだな」  その気持ちは立夏にもよくわかる。  子どもの頃から本は大好きだったけど、「こうしなさい」「ああしなさい」と上から押し付けてくるような本は息苦しくて嫌いだった。 「ひとりぼっちだった子どもの頃の自分が手に取れたら嬉しいだろうな、読んだら元気になるだろうな、って本を書きたいなっていつも思ってるんだ。まあ、そうは言っても版元それぞれの方針もあるし、書きたいものを書きたいように書いて、それが売れるなんてことはないんだけどね」  そう言って、照れ隠しにへへっと笑う立夏を見つめる司朗のまなざしは、どこまでも深く、やさしかった。
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