1人が本棚に入れています
本棚に追加
/13ページ
……………………。
分娩室に入ってそろそろ一時間……。エツコの奴、大丈夫やろか。
99
ホンマは最後まで付き添ってやりたいねんけど、ワイは血ぃ見ただけで気分悪うなってまう小心者なんや。かんにんしてや。
98
その代わり約束通りこうして分娩室の前でその時が来るまで待っとるさかい。離れていても心はひとつやで。
97
安産祈願の御守りも、踏ん張るためのゴムボールもエツコに持たせた。あとワイにできることは我が子が無事に産まれてくるよう祈り続けることだけや。
96
聞いた話では出産ちゅうのは鼻の穴からスイカが出てきよるくらいの激痛らしいやん。想像はつかへんが、口内炎ができただけでむっちゃ痛がるワイじゃ絶対に死んでまうやろうな。
95
そう考えたら、エツコには一生頭上がらへんわ。というか世のオカン全員尊敬するわ。ああ……もう少し、オカンのこと労ってやればよかったなぁ……。
94
子も産まれることやし、これからは心を入れ替えエツコを大切にしよう。家事もできる限りやるし、子育ても協力する。浮気とかもっての他や。例え夜の繁華街でキレイなねーちゃんに声かけられてもホイホイついていかへん。もう二度とな……。
93
ま、かわいい我が子の顔を見ればそんなよこしまな考え吹っ飛ぶやろ。これからは自分やのうて我が子の幸せを優先して生きるんや。
92
もう自分だけの人生やない。二人の人間を幸せにするため今まで以上に身を粉にして働かなならん。そう考えたらごっつプレッシャー感じるわ。
91
……ふう。緊張からか、喉渇いたわ。飲み物でもこうたろか。確か一階の受け付けのとこに自販機あったな。すぐ戻って来るさかい、待っときやエツコ。
最初のコメントを投稿しよう!