ルール

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その後、アレクとは良く会った。 仕事柄、私は弱った、病んだ心の持ち主と対峙する事が多いし、彼は生き馬の目を抜く経済界で働いている。 お互いの専門分野外の話が面白かった。 波長が合った。 本の趣味も合うようで、各々の蔵書の蘊蓄を語り合った。 突然アレクが、私のスーツ越しに腕を握り、 「クリスは、大分体を鍛えてるね」 と言った時は吃驚した。 健全な精神は健全な肉体に宿る、が信念の私は毎朝走っているし、仕事前にトレーニングしてる。 「ええ、体を動かすのは好きですから」 更に思いの外強い力で握られ、凝視された時は一瞬身の危険を感じた。 彼はいつもの穏和な表情に戻り、 「今度、ご一緒したい場所があります。 是非お時間下さい、きっと気に入りますよ」 そう言い残した。 それから、ここの扉を定期的にくぐる様になるまで、時間はかからなかった。 ゲストハウス前の駐車場に車を停める。 案の定一番乗りだ。 更衣室で服を脱ぎ、シャワーを浴びる。 そのまま、渡り廊下から母屋へ入る。 母屋といっても、大きなホールになっている建物だ。 私は、そのまま、全裸のまま 体を解す様にストレッチする。 そして、四肢をつく。 ここから先は、この姿勢のまま過ごす。 立ち上がる事は許されない。 あの方を見下ろす事はルールに反する。 そして私は、夜会に参加する群れが全てルールを守る様、監督する群れのトップだ。
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