ルール

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ルール

広大な敷地。 屋敷周りの植栽は、いつ見ても綺麗に手入れしてある。 反面、敷地に入るゲート周りは鬱蒼とし、来る者を拒んでいる。 その中に数多くのセキュリティーグッズが配置されているのを、私は知っている。 今夜は、スペシャル・ナイト。 気を引き締めなければ… 毎月ある夜会も、集中力と忍耐、体力が必要だが、3ヶ月に一回ある特別な夜会は、特に神経を張り詰める。 普段より早く到着した。 ゲートを通り、ゲストハウスまでの長い道を走る。 ハンドルから片手を離し、ネクタイを緩めた。 今夜は、何が起こりそうな気がする。 悪い予感は外れた事がない。 私、クリスチャン・ランバートがここに招待されたのは、二年前。 恩師の知り合いの紹介だった。 厳格な家庭に育ち、自分自身も既存の価値観に囚われてる自覚があった。 より深い勉学の為故郷を離れ、この地に来た。 この国の開放的な空気に感化され、その当時懇意にしていた女性と結婚したが、1年で離婚。 本来の私が、女性に求めるモノが厳し過ぎた様だ。 以来、結婚に対する苦い経験から、女性との関係はドライなものにしている。 仕事は順調だった。 長い間学んできた事を実地に移す為開業し、若手精神科医としてメディアに取り上げられたせいで、なかなか予約の取れない人気クリニックになった。 順風満帆な状況なのに、充足感がない。 私の中に何かが足りない。 そんな悩みを恩師に相談した。 ある時お宅に伺うと、師の古い友人だという男がいた。 その男がアレクサンダー・ミハイロフ 私の前任者だ。
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