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イヌネコとの戯れ
異世界勇者の故郷に関する書物はこちらに充実している。
それによれば異世界とは魔法こそ無いが、こちらの様なモンスターの居ない、おめでたい世界だと聞く。
その中でもJKなる種類の輩は騙しやすく、犬猫とじゃれている様な軟弱な輩だと聞いていた。
チートが無ければこの世界で直ぐに死ぬような輩だと思っていた。
が、今目の前に広がるJKは何だ?
兜の隙間から見えたのは、我が国の精鋭の衛兵が赤子の様に吹き飛ばされ、アカレ&ミグーリの兄弟騎士が翻弄された挙句に沈められた悪夢の光景だ。
チートは身体強化の類だと思った。しかし、アイツは今、チートを使っていない!
それは、身のこなしが明らかに自然な、自分の肉体としての動きそのものだから解る。
チートによって突発的に得た力でなく、自分が持っていた力だ。
あの小娘、一体何をして今まで生きていた?
「お前は………お前は何だ?
JKなんて生き物は犬猫と戯れるガキじゃ無かったのかーー⁉」
目の前の鎧の大男が叫ぶ。
「そりゃぁ、私も灰色熊や虎とは遊ぶけど…………それはJKへの偏見じゃない?」
「今お前!イヌネコのルビに何の猛獣を放り込んだーー⁉」
大男が叫びながら手に持っている大剣を振り上げた。
ガキン!
私の拳の方が速かった。
鎧が凹む感触が有る。が、
バキャン!
頭上から大剣が勢いよく振り下ろされた。
避けたけど………おかしいな。確実に当たったのに。内臓を体の中で乱反射させた筈だったのに。
やせ我慢?それとも違法な薬物やってる?
「フフ、フフフフフフフ………」
あれ?流石に内臓乱反射でおかしくなった?
「確かに、お前は強い。
しかし!お前は魔法と異世界の道具達を本当には知らない!
見せてやろう。我々人類が貴様ら怪物相手に抗い倒す為に生み出した力を!」
「御託は良いから。何したの?」
鎧が拍子抜けしたのが目に見えた。
でも、実際興味ないし、あと、しれっと華のJKを怪物って言われて少し怒。
「ウゥゥゥゥウウウ!
この鎧は貴様の様なゴリラを相手にする用に作られた『衝撃を無効化する鎧』だ!
お前が幾ら打撃に優れていても、物理的な力は遮断される!
更に言えば、自動修復機能が付いていて決して壊れる事は無い!
貴様には絶対に勝てない!ハッハハハハハハハハハ!どうだ!これが人間だ!」
高らかに宣言する。
とは言いつつ、大男ことガリシュムは内心冷汗をかいていた。
10m級のドラゴンに踏まれても凹まない鎧に拳の跡がくっきり付いていた。
一体、この娘、どんな力で殴った?
あと、殴って何故怪我をしていない⁉
「ねぇねぇ、さっきから私を人間じゃ無い者的に扱って、言うに事欠いて『ゴリラ』?
うら若き乙女の心を踏み躙って……ブジデスムトオモウナヨ!
ソレニ、外カラ攻撃ガ通ジナイ程度、問題ジャナイカラネ?」
ゴキュル!バキュリ!
明らかにうら若き乙女の手から鳴ってはいけない派手な音を、八華は指から鳴らした。
「打撃デ沈メテヤンヨ。フシュー!」
口から汽車の様に白い煙?蒸気?を吐く姿は、明らかにJKのテンプレから外れていた。
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