beautiful RAIN

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 私は、雨に呪われた人生なんだと思う。すべては〖 美雨〗と名付けられたその時からすでに始まっていたのだとさえ思う。物心ついたときから、大事な日はいつも雨だった。幼稚園の初めての遠足も、誕生日旅行も、海水浴へ行った日も、ビーチバレーの大会決勝戦の日も、日本一長いジェットコースターがある遊園地へ行った時も、入学式も卒業式も、父が亡くなった日も。思い出せること全部全部全部、雨が降っていた。  雨が降る度に、何度この名前を憎たらしく思ったことか。"美しい雨"なんて、そもそも雨に美しいも醜いもそういう概念が私にはない。両親を否定するわけではないけれど、どうしてよりにもよってこんな名前をつけたのかと思う。  「まあまあ、逆に記憶に残る結婚式になるし俺はいいと思うけど?」  「えぇ~・・・まあ、忘れはしないだろうけど・・・」  「悪い意味で、だけど」という言葉はいま言ってはいけない気がして、口に出す前に飲み込んだ。
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