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「美雨」
「・・・」
「綺麗だな」
「・・・ごめん」
「なんで謝るんだよ」
「だって・・・そんなことある?」
今日、私たちは結婚式を迎える。親しい友人と身内だけを招いた、本当にこじんまりとしたものだけれど、ずっとずっと憧れだったジューンブライド。タキシードに身に包んだ夫となる貴広は、椅子に腰かけていた私のウエディングドレス姿を見て嬉しそうに笑顔を見せるけれど、私自身はちっともそんな気持ちになれず、もはや泣きそうな程だった。
「別に珍しいことじゃないだろ?結婚式が雨の日って人、これまでたくさんいただろうし。季節的にも今梅雨なんだしさ」
「でもさ!貴広知ってるでしょ!?」
私の傍まで来た貴広は、落ち着けとでもいうように私の頭を優しく撫でる。
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