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しょーちゃん、回覧板係に任命される
濱辺祥子は、山の最奥にある磯貝家へと回覧板を届ける役割を担っている。
磯貝の屋敷は、村の中心部から最も離れた位置に建てられており、電話線を繋ぐこともできない為、伝達を一つするのにも労力が非常にかかる。磯貝は、可能な限り自主的に公民館へ通うことで情報を得ていたが、それでも緊急の連絡には不向きである。磯貝の屋敷から一番近くに位置するのは内村の家である。
しかし、老人が体に鞭打ち、獣道を移動するだけで相当な体力が必要だった。
そんな最中、山の最奥にある磯貝家と内村家の中間地点にあたる場所に、濱辺ら一家が引っ越してきたのだ。
田舎への引っ越しは、疎まれがちだが、祥子の父親の血筋に、この村の出身者がいたということで快く迎えられた。
老人が獣道を移動するのも一苦労だが、若い人間ならば何とかならないかと考え、回覧板の手渡しを提案した。始めは面倒な役割を押し付けられたと感じたが、思いの外、三姉妹の末っ子である祥子が意欲的だった。獣道を進むことに冒険らしさを感じたこと、さらに届け先である磯貝の人の良さを気に入ったことが要因となった。
二週に一度の水曜日。
回覧板を手渡しに行く日。
そして、少女にとっては、気兼ねなく会話のできる老婆と交流する日となった。
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