ディナーからの…?

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「松下くん?何か言いましたか?」 「いえ!何でもないです!部長は焼肉とかステーキとかあんまり好きそうじゃないっすよね。でも肉食いたいんすよー!部長は、肉と言われたら何思い浮かびますか?」 「肉料理というと…そうですね、ハンバーグとか?唐揚げ?」 「へへへ、小倉部長可愛いっすね!!でもハンバーグありです!ハンバーグ食べに行きましょう!ハンバーグの専門店があったら絶対旨いっすよね〜!」 可愛いって言われ、少し子供みたいな答えだったと気付く。思い浮かんだのがそれなんだから仕方ない…仕方ないんです。 松下くんは近くのお店を調べてくれているようだった。実はハンバーグ専門店を私は知っていて言い出すか迷ってしまった。 「部長?どうかされましたか?」 「いえ、、、実はハンバーグの専門店を私は知っているのです。松下くんは専門店に行ったことがないんですか?」 「えっ、あるんですね専門店!!行ったことないっす!ハンバーグといえばファミレスと実家と…そういうイメージなものです!おれ行ってみたいです!! この辺にあるんですか?」 「私が知ってるハンバーグ専門店は神田駅にあるんです。確か松下くんは、住まい逆方向ですよね?」 「神田駅ならここから遠くもないじゃないですか!全然行きましょうよ!おれ、ハンバーグ専門店が頭から離れないです!」 目をキラキラさせている松下くんを見たら、これはもう行くしかないなって気になってしまった。 松下くんと帰宅ラッシュの電車に乗りこみ、20分。 神田駅に着いた。 私的には帰宅ルートで途中下車した気分なので、本当に新鮮だ。会社の飲み会といえば、交通の都合もあって駅前とか移動することはない。 電車は会社に行って、帰るためのルートで手段。 いつぶりだろうか、途中下車。 神田駅に着いて、私は松下くんをお店までエスコートする。満員電車で松下くんと少し離れてしまい、別々となってしまったタイミングで、お店は開店しているのを確認した。 さすがに電話で予約までは出来なかったが、着いたまだ空席はあった。良かった。 「部長はこのお店来たことあるんですか?」 「実は知ってただけで、来たことなかったんです。このお店、多分10年くらいだったと思うんですが、当時神田によく来て営業をしていまして。ランチ営業をしていなかったようだったので、中々夜食べに来る機会もなく。ハンバーグ専門店か、美味しそうだなって気になっていたんです。」 「へええ!それじゃあ今日は遂に、念願の来店ってことになりますね!楽しみですね、念願のハンバーグ!」 そう、私は彼と同じく、いやそれ以上にハンバーグ専門店に来ることが決まって楽しみなのだ。 私たちはオリジナルのハンバーグを注文した。彼はトッピングでチェダーチーズを追加して。 ハンバーグにはセットでスモールサラダと、パン、もしくはライス、が選べるようになっていた。 あとは色々選べるようになっており、ハンバーグのグラム数も150、200、250gから。ソースもデミグラス、トマト、和風、ホワイトソースと4種類から一つ選べた。 トッピングも豊富にあったが、私はシンプルにいただくことにした。 オリジナルのハンバーグは鉄板で出てきた。 ふっくらと丸みを帯びており、ジューシーな音が食欲を沸き立てる。 熱いうちに、と2人ですぐ食べ始めた。 ナイフを入れたら中から香りがふわっと鼻の奥まで広がった。そして切れ目からは肉汁がキラキラと輝いて鉄板に広がっていった。 「めっっちゃ旨そうっすね、部長!」 私も今そう思ったとこだよ松下くん。 彼は250gを選んでいて、私よりぱっと見で大きいとわかる。しかし、大きさ関係なく、美味しそうな仕上がりは共通ということだ。 「いただきます」「いただきまーす!」 2人してハモって一口に切ったハンバーグを口に入れる。見た目の美味しさがそのままガツン、と口に広がる。噛めば噛むほど、肉の味が、肉のうまさが出てきて、それに肉汁がなんとも溢れでくる。 おいしい。おいしすぎる。 松下くんは目を細めてだらしない顔をしている。 私もそうなっているだろうか。 ソースはココットに入って提供された。 かけなくても、ハンバーグ自体の味がしっかりついていて、それだけでも満足だったが、せっかくなので選んだデミグラスソースを上からかける。 鉄板が熱々だったのでジュワ、っと香ばしい香りが立つ。 デミグラスも手作りだろう、少しサラッとしたソースはハンバーグをいい具合に引き立てて役として存在感を出した。選んだパンは、まん丸としたロールパン2つだったが、私はハンバーグを食べ終わってからパンの存在に気づいてしまった。 彼はトマトソース、それからライスを選択していた。 うまい、うまいと言いながらハンバーグとライスを上手に食べている。トマトソースも見る限り、サラッとしているがトマトの肉感も残っているもので、さっぱりした味わいのものなのだろう。 パンを鉄板の上に残った肉汁につけて食べる。 肉汁からハンバーグの味がしっかりでており、ふわっと焼き上がったパンに染みてこれまた美味しい。
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