心臓が壊れた

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おれは今日、人生で初めて心臓が壊れた。 小倉部長に連れてってもらったハンバーグ専門店、めちゃくちゃ美味しくて美味しくて、食べることに夢中になって。 お店を出た後、どうしてもまだ部長と一緒に過ごしたくて1杯だけ、と飲みに誘った。 そこまでは良かった。 飲みに行った先が、PUBという場所だった。 お酒を頼む事にお会計をするシステム。 お酒を楽しむ場所で、お酒も美味しかった。 ビールは毎日飲んでいて、おれはお酒が好き。 でも過度に飲んだりとかはもう学生の時に卒業してる。 自分のペースで飲んでいたつもりだが、いつもより酔っていい気分だったのも確かだ。 部長は酔ってないと言ってたけど、 敬語じゃなくなった時なんて、本当にどきっとした。 6年間、仕事していて、初めてだった。 部長の素が見れて、俺は凄く興奮していた。 声を出して笑ったりしたのも初めて見た。 ドキドキして、目が離せなかった。 そこから、まさかの部長の家に泊まらせてもらうことになった。 電車に乗ったのは覚えてる。 でも、気づいたらもう、立派な家の前にいた。 心臓がバクバクして、、、 いや、別に、何かあるって決して思ってない!思ってないんだけど!! おれの心臓が壊れそうなの、分かってくれるかな。。 でもね、玄関で待っててって言われて。 声だけだけど、さっき走ってきた小次郎と、小倉部長がおかえりタイムしてるの聞いて。 少し冷静になったよ。 浮かれてるのは、俺だけ。っていう感じというか。 う〜〜〜既に色々キャパオーバーだから、うまく言葉は出てこないや。 落ち着いたら急に膀胱がパンパンになってることに気づき、おれはいつもの感じで、ちょっと恥ずかしかったけど部長にトイレに行きたいと伝えた。 心臓も、感情も、ちょっとついてこないから 一旦いつも通りになるのさ! 正直シャワーは浴びて寝たかったけど、 無心になりたくて寝ることを選んだよ。 …でもね、着替え用意してくれて、まあおれスーツだし助かったんだけど、また心臓が暴れて大変だった。 部長の匂いがした。 部長はさ、すっかり自分のペースを取り戻してるようで、仕事中のように俺を部下として見始めている。 たまに敬語も混じるようになっていた。 俺はそれに合わせておきたくて、 必死にいつも通り、を装っていたんだけど。 おれは全然ソファで寝れるし、 友達と宅飲みとかしたら雑魚寝みたいなもんだし、 なのにね、部長布団用意してくれて。 それがさ、部長と同じ部屋で、少し隙間空けて敷いてたの。 もうさ〜〜〜〜〜 初夜みたいとか思っちゃうし、 なんかこう、意識しまくりなおれ。 おれって、やっぱり、部長のこと好きなのかな〜! 上司である小倉部長じゃなくてプライベートの小倉忠裕さんを知って、もっと知りたいって。もっとそばにいたいって。 俺専用の気持ちは、俺専用の恋心だったんだなってもう認めるしかない!! でもどうしよう、俺告白とか、全然想像できない!俺にできるのかな!?でもでも、もし付き合ったらしたら手を繋いでキスとかして…その先も?! 気づいたら部長は自分の布団でスースーと寝ていた。 その横でにやけて奇声を発しそうになる自分の顔を枕に埋めた。 おれはね、 眠かったはずなのに、アドレナリンもでまくって、心臓が壊れてドクドクしっぱなしで。ずっと布団の中で動けないまま息を吸って吐いてた。心臓が治ったのは外が明るくなってからだった。
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