おれ専用の!

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俺、松下哲郎。 今年28歳になる、都内営業しているサラリーマン。 勤続6年目となるこの会社は輸入食品を取り扱っている、そして部長が素敵で大好きな会社だ! 部長はすごいと思う。 違う部署にいる同期と飲んだりすることもあるが、いつも愚痴を言っている。俺は愚痴なんて全く出なくて、商品のことを話したりするんだけど、そうすると同期は呆れた顔をする。 お前はこういう飲み会まで、仕事の話するのかよ、そんな楽しい?この仕事。 って。 勿論楽しくないって思った時もあった。 ひとりで色々動くようになって間も無い時。 自分が持つ予算に対して全然足りなくなってしまった。怒られるんだろうなって。おれは、商品をゴリゴリ買ってもらうように頑張るのがどうしても苦手だった。相手が気に入ってくたら、嬉しい。 けどどうしても、売り上げが少なくて、金額を伸ばすために畳み掛けるような営業ができなかったのだ。 実績報告する営業会議の前日、 俺は頭を抱えていて、資料の作成するために社内に残っていた。 そんなとき、小倉部長が声をかけてくれて、俺は先に事実を告げた。 「まず、予算はどのように作ったのか、今度教えてください。無理な予算だった場合は、一緒に見直しましょう。 それから私は松下くんが一生懸命取り組んでいたのをしっかり見ています。今月はそういう結果になったとしても、そのマイナス分はある時プラスになって返ってくるでしょう。 実績は月で報告しないといけないですが、営業というのは区切ること無く続くものです。営業という仕事にはゴールはないのです。だから、今月と言っても来月にもなるし、再来月に花を咲かせる時もあります。 予期せぬ所で、松下くんが巻いた種が、咲く時もあります。 松下くんは元気で明るい、その長所を存分に活かしてポジティブに、自分が楽しめるような営業を全員に対して100%で行ってみてください。相手は、そんな松下くんに惹かれていくものがあると思います。 やりたい営業を妥協せずにやり続けたら、苦手な営業はしなくても良くなると思いますよ。これは私のアドバイスです。」 俺はね、本当に上司に恵まれたなって思ってる。 翌日の営業会議では、予算を下回り本部長からの圧力を感じてやっぱり顔を上げることができなかったんだけど、そこでも小倉部長が助けてくれた。 「本部長、松下が担当の大手スーパー 丸浜ですが、そこのバイヤーが体調崩してバイヤー商談等がリスケしてしまってたんです。一応すぐに代理が立ちましたが、スケジュールがずれてしまい納品できず売り上げになりませんでした。他社も同様です。 他社はその分他で営業していたかもしれませんが、松下はバイヤーの入院先を聞き見舞いをしていました。これは、彼の独断です。見舞いには提案する予定だった商品も添えていました。 現在バイヤーは復帰しており、そのバイヤーから私に1通メールが届いています。松下への御礼の言葉と、可能だったら来月スポット展開したいと声がかかっております。差分には届かないかもしれませんが、プラスにはなる予定です。」 俺は、入院先に見舞い行ったことを告げてなかったし、スポット展開の打診も知らなかった。驚いて部長を見てると、優しい笑顔で、大丈夫だよって表情をしていた。 本部長は俺のマイナスに対して叱ることなく、会議は予定通りに終了した。 小倉部長は、 「昨日言わなくてごめんね、でも君の営業はしっかり相手に伝わってます。来月は、そういうことで飛び込みのスポットがあるので少し忙しくなるかもしれませんが、在庫と日程としっかり調節して、活躍しちゃってください。期待してますよ、松下くん。」 と俺を励ましてくれたのだった。 尊敬していて、俺が大好きな小倉部長がいる限り俺はずっと営業として頑張れる。本当にそう思っている。 帰宅してシャワーを浴びて缶ビールを開けた所で、携帯がポンっと音が鳴った。 見ると、小倉部長からだった。 "松下くん、お疲れ様です。小倉です。 早速なんですが、今週の金曜日、仕事終わりに食事いかがですか? " 「ええぇえええー!!小倉部長からメッセージきた!!しかも先に誘われた!!やっば、めっちゃ嬉しい何これぇ……嬉しすぎる………!!!」 おれはすぐに返信した、 " お疲れ様です!めっちゃ嬉しいです!!金曜日ぜひ行きましょう!!" " ありがとうございます、それでは楽しみにしていますね。ではまた明日。おやすみなさい" あ、本当要件だけで終わらせてきましたね、部長…。でも嬉しい!嬉しい!あーーーー最高だ!! " こちらこそありがとうございます!おれの方が楽しです!明日もよろしくお願いします、おやすみなさい!" ニヤニヤが治らず、ソファーに顔を埋める。 「金曜日…部長と何食べよう。へへ、やった、小次郎より優位になった!でも小次郎に悪いから何か猫の缶詰とか買って小倉部長に渡そうかな…そうしよう。あーーー楽しみだなーーーっ!」 おれはこの気持ちがLikeなのかLoveなのか分かっていない。過去に男の人を好きになったことはないから、よく分からない。彼女はいたことあるけど、今まで自分から好きになって告白したことはない。部長を恋人にしたいかって言われても正直よく分からない。たぶん、上司としても憧れて尊敬してるし、いろいろごちゃごちゃしてる、名前つけれない特別な感情ってやつなんだと思う。おれ専用の!
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