(ろ)素瀬里

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(ろ)素瀬里

素瀬(すせ)の里には香々(かが)という機織り女がいた。香々の織る布は美しく、その美しさを聞きつけた貴人(あてびと)により、香々の布は毎年宮中に奉納されるようになる。 帝のお召し物になるのか、はたまた東宮様か、それとも中宮様であろうか、それを素瀬の者は誰も知らない。 ただ辺鄙な里から美しい布を宮中に奉納する事が里人にとってとても誇らしい事であった。
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