記憶だけを

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記憶だけを

辛いとき、悲しい日 誰にも打ち明けられないとき もう会えない人に頼りたくなる 痛みはずっと残ってて 涙も思い出すだけ溢れて あれほど温かった人が 冷たくなった 何千回も呼んでくれた名前も もう聴こえない それだけじゃまだ信じない 布団で眠ってるだけ ずっと呼び続けていれば また返事をしてくれるかもしれない 泣き疲れた後も ずっと隣にいた 朝になっても表情は変わらない こんなに細くなってたんだ 腕には沢山の点滴の跡が残ってた 痛かっただろう どれだけ頑張っただろう どんなに怖かっただろう 私はそれを考えたことがあった? はじめて気付いたことばかり 大好きだった人が 火の中へ行った時 もう、限界だった 二度と戻ってこないことを 目の前で突き付けられた 骨になった 一番大切だったひと 私が知らない あの人のカタチ 拾えと言われても 手が震えて カケラを上手く拾えなかった たしか、少し落とした こんなの無い あの人なのに、あの人じゃ無い 息が上手く吸えなくて 生きた心地がしなかった さよなら、なんて 簡単に手放せるものか きっとわたしが死ぬまで この日のことは忘れない 毎日毎日空を見上げて あの人がどこにいるのか探した 独りになると勝手に泣き続けた そんな日が半年ぐらい続いた あれから、もう十数年の時が流れた 未だに思い出すと感情は乱れる さすがにもう、戻れないと分かっている 会えないことも知っている 嘘ではなく真実だったと認めてる ただ あの頃とは違う孤独があって どうしようもなく頼りたくなる日は 一番にきみのことを思い出す いつも一定の声で やさしく呼んでくれた ずっと唯一の味方だった ありがとうは全然伝えられなかった 私のために、1日でも長く 生きようとしてくれたことを 後になって知った 沢山傷付けたのに 一度も私を責めなかった それどころか 守ってくれた わたしはずっと子供のままだ ちっとも心は大人になれていない だから一層 会いたくなる 話を聞いてほしいと思う 君のいる世界は優しい? しあわせだろうか? 笑っている? 君がもう苦しまなくてすむように それだけ。 わたしはいつそっちへ行くだろうか 色々あったけど 結局まだこの世界にいるのは 何か意味があるからかな 失うものはなにもない あとちょっと ここで自分がいる意味を 見つけるよ END
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