第1章…地上へ

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「私とそっくりな黒髪の男を見なかったか?」 私は、もう何度、この言葉を口にしたかわからない。 しかし、この数ヵ月というもの、どこへ行っても何一つ手掛りはみつけられなかった。 それも無理からぬこと… 私の探しものはとてもみつかりにくいものなのだから… 「あんたとそっくりな黒い髪の男? …それは、あんたの双子の兄弟ってことかい?」 「……そうだな。まぁ、そう思ってもらって良かろう…」 「兄貴か弟か?」 「……よくわからん…」 「わからん? ……変わったことを言う奴だなぁ。 変わったといえば…俺は今まで生きてきて、あんたみたいに変わった髪の色をした奴を初めて見たぞ。」 そう言いながら、男は改めて私の髪をまじまじとみつめる。 「そうか…… 私の国にはけっこういるのだがな……」 「あんたの国って、どこなんだい?」 「……遥か、遠くだ…」 「へぇ~…そうなのかい。 残念ながら、あんたの探してる男に心当たりはないな。」 「そうか。呼び止めてすまなかったな…」 今までの所、どこへ行ってもこんな調子だった。私も端からすぐにみつかるとは思ってはいない。 しかしながら、毎日毎日同じことを繰り返すのはいいかげん飽々する作業だ。 こんなことをあと何百年…下手をすると何千年、何万年と繰り返さなくてはならないのかと思うと、ぞっとする。 こんな時、人間のように短命であれば…と、おかしなことを考えてしまう。 だが、そんなことを望んでもどうにかなるものでもない… 地道に探し続けるしかないのだ。
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