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その後、私は痛む足をひきずりながら、やっとの想いで小さな田舎町に辿り着いた。
私は、初めて感じた空腹と疲労を癒すため宿に泊まろうとしたのだが、金を持っていないことを話すとそのまま外へ追い出された。
仕方なく、私はそこいらの家を訪ね事情を話してみたが、人々の対応は実に冷たいものだった。
(これだから、人間は嫌いなのだ…!)
八つ当たりにも似た感情を抱きながら、トボトボと通りを歩いていると、一人の男が声をかけてきた。
男は農場を営んでおり、私はそこの作業を手伝うことを条件に食事と宿を与えられることとなった。
ただ雨風を遮るものがあるだけの粗末な小屋と、まるで家畜に与える餌のようなまずい食事だったが、それでもないよりはましだと、私は自分に言い聞かせた。
次の日からの作業は過酷なものだった。
重い鍬を持って荒れた土を耕し、遠い山から水を汲んでくる…
そんなことをまだ朝が明けきらないうちから暗くなるまでやらされるのだ。
作物を育てるのに、人間はこんなに苦労をしていたのか…
原始的な生き物というものは、つくづく可哀想なものだと思った。
次の日は身体の節々が痛んだが、それでも早くに起きて作業をしなくてはならなかった。
一週間が過ぎた頃、やっとそんな生活にも慣れては来たが、それと同時にこんな所にいたのではどうにもならないことにも気が付いた。
毎日の食事と宿の心配こそないが、自由な時間が全くないために、私の片割れを探すこと等とても出来ないのだから。
農場での生活に見切りを付けた私は、食糧を少しいただき、暗いうちに農場を後にした。
そこから、私は新たな町へ行っては、何がしかの仕事に就いてどうにか食いつなぐという状況を続けていた。
本当にギリギリの暮らしなのだ。
宿屋にも泊まれない日の方が多い。
金がないから馬車にも乗れず、それゆえに遠くへ行くこともなかなか出来ない。
こんなにちまちまと捜索を続けていたのでは、本当に何千年かかっても私の片割れを見付出すことなど出来ないのではないだろうか?
なんとかしなくては…!
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