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その時。
キイーキイーという高い音が聞こえてきて、堤防の上の道路に自転車が停まった。
大柄な男の人がビニール袋を手に斜面を降りてきて草っぱらに何かを撒くと、自転車に乗って来た道を戻っていった。
僕達は男の人の姿が完全に見えなくなってから、そちらの方へ行ってみた。
僕とこうたは立ち止まって鼻をひくつかせた。
湿った土のにおいに混ざって、何だかおいしそうな香りがした。
こうたが目を輝かせた。
「ごはんのにおいだ!すごい、本当に願いが叶った。ふうた、早く行こう。急いで食べなきゃ大きい連中が来ちゃうぞ!」
「うん‼︎」
僕達は男の人がいた辺りまで走った。
そこら中に落ちているごはんを僕達は必死で食べた。
大きい猫達に見つからないうちにお腹いっぱい食べなきゃ。
………ん?
僕は動きを止めた。
何だかイヤなにおいがするものが混ざっている。
これは…………食べちゃいけないものだ!
「こうた、変なのがあるから気をつけ……。」
僕が言いかけたその時、こうたが食べたものを吐き出してその場に倒れた。
それからも何度も吐きながら、苦しそうに体をよじっている。
こうたは食べるのに夢中になり過ぎて、変なにおいのごはんに気づかなかったんだ……。
どうしよう、このままじゃこうたが死んじゃう。
そんなのは絶対にイヤだからどうにかしなきゃ!
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