星降る夜に

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僕が脇目も振らずに向かっていくと、車はキキーッと急ブレーキをかけて停まった。 走っていた勢いのまま車に飛び乗り、前のガラスに両手を当てて「ニャーッ、ニャーッ!」と一生懸命訴えた。 運転席の二十代前半の男の人は目をまん丸くして僕を見つめていたけど、そのうち慌てて車から降りてきた。 僕は地面に飛び降りて、少し歩いては振り向き「ニャーッ!」と鳴いて必死に“ついてきて”とお願いした。 でも運転手さんはなぜか後ろのドアを開けて、車の中に向かって何か言った。 やがて車の陰から姿を現したのは三角の耳をピンと立てた大きな犬だった。 僕は焦って身構えた。 もしかして運転手さんは僕が無理やり車を停めさせたからとても怒っていて、この大きな犬をけしかけようとしてるんだろうか? だけど僕はここで逃げるわけにはいかない。 こうたを救えるのは僕しかいないんだから!
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