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僕は勇気を振り絞って大きな犬に言った。
「お願い、助けてっ!」
大きな犬は張りのある太い声で尋ねた。
「どうした?何があった?」
「僕の兄弟が何か悪いものを食べちゃって、このままじゃ死んじゃうかもしれない!だからお願い、助けて‼︎」
「案内しろっ‼︎」
僕はその言葉に弾かれたようにこうたのもとへ走った。
大きな犬は草を蹴散らしながら僕のあとをついてくる。
僕達は瞬く間にこうたのところに着いた。
こうたは自分が吐いたものにまみれて苦しそうに浅い息をしている。
ワン、ワン、ワンッ‼︎
大きな犬が力強く吠えた。
運転手さんがその鳴き声と、草の上に出ている犬の頭と尻尾目掛けて走ってきた。
僕の声ではこうはいかなかった。
それにこの暗闇の中で草より背が低い僕のあとを追ってこうたを見つけるのは人間にとっては難しかっただろう。
今ここで、大きな犬を連れた運転手さんに会えたこと。
これはきっと流れ星がくれた奇跡だ。
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