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僕がそんなことを考えているうちに運転手さんはこうたを抱き上げて上着で優しく包んだ。
「コタロー、その子を連れてきて!」
大きな犬はコタローさんという名前らしい。
コタローさんは僕をそっとくわえると、どこかに電話しながら車へ激走している運転手さんのあとに続いた。
運転手さんはコタローさんと僕を車の後ろの席に乗せた。
こうたは助手席だ。
僕はこうたのことが心配で心配で、助手席を覗き込もうと立ち上がったまま首を伸ばした。
見かねたようにコタローさんがとても落ち着いた様子で言った。
「危ないから大人しく座っていろ。柾は間のぬけたところもあるが基本的には頼りになるヤツだから任せておけば大丈夫だ。」
僕はコクリと頷き、おすおずと座った。
でもやっぱり不安だったからコタローさんにピッタリとくっついてみた。
コタローさんは少しくすぐったそうな顔をしたけど何も言わなかった。
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