3人が本棚に入れています
本棚に追加
/20ページ
☆★☆★☆★☆★
今日は夕方まで強い雨が降っていた。
こんな日はおばあさんも来ないだろうから
こうたとキャリーの中でじっとしていた。
斜面を下る雨水がキャリーの中まで流れ込んできてどうなることかと思ったけど、夜になるとそんなことが嘘だったかのようにいい天気になった。
幸い水の器に雨水がいっぱいたまっていたので、お腹が空いたと思うたびにこうたと代わる代わる水を飲んだ。
お腹が空きすぎて、だんだん動くのも面倒になりつつあった。
僕は草の中に寝そべった。
こうたは僕の頭の方にちょこんと座って夜空を見上げていた。
「あっ、流れ星!ふうた、流れ星だ‼︎」
突然、こうたがそんな声を上げた。
「……流れ星⁉︎」
僕が頭だけ持ち上げて見ると、確かに長い尾をひいた光が明るい星のそばからいくつも流れていた。
「ふうた、早く起きてお願いしよう!真くんが読んでくれた絵本に流れ星は願いを叶えてくれるって書いてあっただろ?あんなにたくさん流れてるんだから、きっとひとつくらいは願いを叶えてくれるはずだ‼︎」
こうたがあまりに嬉しそうなので、僕は仕方なく、のろのろと体を起こした。
こうたは目を閉じて祈り始めた。
「明日…いや、これから毎日、お腹いっぱいおいしいごはんが食べられたますように。それから……みぃちゃんと真くんにまた会えますように……。」
最初のコメントを投稿しよう!