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みいちゃんはポロポロと涙を零しながらそっと僕を抱きしめた。
「ごめんね、ふーちゃん……元気でね…….。」
みいちゃんの隣では、僕の兄弟のこうたを抱いた真くんが「こーちゃんとバイバイ、イヤだぁ……。」と大号泣している。
「でも、そろそろ行かないと約束の時間に遅れちゃうから……ね?」
ママが宥めてもみいちゃんは僕を、真くんはこうたを離そうとしない。
「二人とも、ふーちゃんとこーちゃんにちゃんとお別れして。大丈夫、新しいおうちでも絶対に可愛がってもらえるから。」
ママはそう言って泣きじゃくるみいちゃんと真くんの腕から僕達を引き離し、大きめのキャリーの中に入れた。
そんなママも今にも泣きそうな顔をしていた。
「じゃあ、行ってくる。」
パパはキャリーを持って玄関を出た。
みいちゃんと真くんの悲鳴のような泣き声は白い扉がパタンと閉まっても聞こえてきた。
悲しくて、寂しくて、辛くて、僕とこうたはキャリーの中で「ニャーン、ニャーン……。」と鳴いた。
さよなら、みいちゃん。
さよなら、真くん。
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