泣いている孫へ

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『俺の妹は事件に巻き込まれて殺された。酷い死に方をした妹は死んでからもずっと苦しんでいた。でも桜守夫婦が助けてくれて、妹にも会わせてくれた。家族みんな救われたよ。後悔したくないなら絶対に断らない方がいい』  父と母はスマホの画面をスクロールさせながら「うーん」と唸る。「確かに悪い噂は見ないけどどうするの?」「この手紙に書いてあることが本当ならすごいけどなぁ」と母は困惑顔で、父は自信なさげに頭を掻いていたが最終的には二人とも花那に向き直った。 「花那はどうしたいんだ?」 「そうね、花那はどう思う?」  花那は自分でも不思議なくらい迷わなかった。 「もし本当に会えるならおじいちゃんと会って話したい!」  花那の言葉を受けて、父は「それならとりあえず話だけでも聞いてみるか」と頷いて景に電話で連絡を取りに行った。  結構な長電話だったように思う。話を聞くだけではなくて父の方からもいくつか質問をしていたからだろう。
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