泣いている孫へ

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「あんなに立派な桜並木があるものだからもう夫が釘付けになっちゃって、ちょっと暇していたところなの。よかったらお話し相手になってくれないかな?」 「……別にいいですけど」 「ホントに!? すっごく嬉しい! ありがとう! それじゃこっちにおいでおいでー!」  景は花開くように笑うと先にベンチに座り手招きで花那も一緒に座るよう勧めてくる。特に断る理由もなかったので景の隣に座る。 「さっきなんだかとっても浮かない顔をしていたみたいだけど、何か悩み事でもあるんじゃないかな?」  ついさっき会ったばかりの人に話すような事ではないとわかっているのだが、今はとにかく不安で誰かに話しを聞いてもらいたかった。彼女の人が良さそうな雰囲気に当てられてつい口が軽くなってしまう。 「……はい、実は最近おじいちゃんが、その、死んじゃいまして」 「そうなんだ、それは悲しいね」  景はとにかく聞き上手で花那は悩み事のすべてを曝け出してしまった。
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