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取材続行
「すまないね。アイツは昔からあんな奴なんだ。話を聞かない、テンションが常に高い、しつこい、しかも人が気にしてる事もズケズケと……。アタイはいつもアイツに振り回される。はぁ。」
「大丈夫です。頑張って慣れてみせます!」
「そうです!私達いつまでも怖がってられません!」
さっきまでパニックになっていたルルとハナの姿は、もうここにはいない。
「そうかい。2匹とも良い目をするじゃないか。もう大丈夫そうだね。はぁ……。ああ、そう言えば2匹は取材に来たんだったね。アタイ、アイツが来て疲れたし、ジュゴンが人魚じゃないって話したから取材を終了してちょっと休憩したいんだけど良いかね。」
「はい!取材させて下さりありがとうございました!ゆっくりお休みください。僕達、次は白イルカさんにもお話を聞こうと思います。」
「あんまり役に立てなくて悪いね。白イルカならもっと楽しく色々話してくれるだろうよ。それじゃ、アタイ少し寝るわ。おやすみ。」
そう言うとジュゴンはワカメを体に乗せて岩に寝転がるとイビキをかきはじめた。
「え、もう寝たの?はやっ。」
「よっぽど白イルカさんで疲れたんだね。逃げるような入眠。見事としか言いようが無いね。ジュゴンさんが起きない様に、僕達一旦ここから離れて白イルカさんを探しに行こう。」
「そうだね、離れよう。でもさ、これからどうしよう。元々ジュゴンさんを目当てに取材をしにきた訳でしょ?そのジュゴンさんは、人魚説で振り回されて不貞腐れてるし……。取材を続けて良いのかな?続けたとして、どうやって社長に報告しようか。」
「たしかに人魚説で傷付いてる動物を更に傷つける様な事はしたくないよね。でも、社長命令だし……うーん。」
「おーい!ルルー!ハナー!たっだいま〜!」
声のするを見ると、お昼にお散歩に行った時に最近よく人間が乗っている、電動キックボードの様な速さで白イルカがこっちに向かっているのが見える。
ルルは最近、お散歩の時ボーッと歩いていると、電動キックボードが真横を通り過ぎて驚いた記憶があり少し身構えてしまう。
「おおっと。危ない危ない。またビックリさせちゃう所だった……!」
白イルカはそれに気づいたのか、ゆったりとした泳ぎになった。
「見て見て〜!この赤いキラキラと〜、青いキラキラ〜、緑のキラキラに紫のキラキラ〜、他にも沢山の色と形の種類があるよ〜!そして……今なら!な、な、なんとぉお!このキラキラを入れる事が出来る、宝箱もつけちゃうよー!」
ひゅー!どんどん!ぱふぱふ〜!と言いながら、持ってきた沢山のキラキラをルルとハナに見せる。
「こんな風に宝箱に入れててもとっても綺麗なんだけどね?こんな風に……ヨッ!」
白イルカは、キラキラの石を沢山口の中に入れて上に投げた。
「「うわあ!きれーい!」」
投げられた石はヒラリヒラリと、太陽の光を通して鮮やかに発色しながら落ちてくる。
「でしょ?でしょ?ふふふ。ボクのお気に入りなんだ!さっきの驚かせちゃったお詫びと、お土産としてルルとハナにあげる!」
「え、私達こんなに沢山貰ってしまっていいの!?」
「そうだよ!こんな貴重な白イルカさんの宝物、集めるの大変なんじゃ……?」
「良いの良いの!集めるのは大変だけど、ボクが好きな宝物を2匹も好きになってくれるのはボクも嬉しい!そ、れ、に〜コレはお詫びだもん!」
「ありがとう!すっごく嬉しいハナちゃんとお揃いだ!あ、そうだ。神様にもお土産として一つ貰ってもいい?」
「良いよ良いよ〜何個でも持っていって!神様にはこの大きな声な海藻で包んで持って行ってあげてよ。いつのまにか2匹とも堅苦しい話し方じゃなくなってて喜んでくれて、ボクとっても嬉しいからサービスしちゃうよ!うふふふ。」
そう言うと、ポンッ、ポンッとルルとハナを包む様に、空気の輪を作って投げた。
「すごい!もう一回!もう一回!」
ハナの目は一層輝き、足をバタつかせながら尻尾を振った。勢いよく振り過ぎて腰から左右に揺れている。ルルは何が起こったのか分からなかったが、とりあえず楽しくて尻尾を振っている。
「良いよ良いよ〜!ポッポッポッポン!リングにリングを入れる大技さ〜。」
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