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はじめまして
アタァ……
(……ん?)
アター‼アタァー‼アタタタタタタ!ウォアタァ!
(ん……⁉イタッ……!イタ!イタタタタ!!)
ガリィィイ!
「うぉあああああ!イッタァアアアア‼」
鼻先に何か当たっている様な感覚だったのが突然、鼻が無くなるのではと思うほど鈍い痛みを感じ、犬生で出したことのない悲鳴をあげながら飛び起きる。
頭がクラクラして、まだ頭は働かないが耐え難い痛みの原因を確認するため、涙でいっぱいの目をかっぴらく。
「うぉあああああ!さ、刺さってるぅ‼」
クリーム色の何かが思いっきり鼻先を噛んでぶら下がっていた。
得体の知れない物体が鼻先にぶら下がっている事実に、ルルはまたパニックになって暴れた。
「うわああああ‼いやだあああ‼」
「ル、ルル兄ィ!待って!落ち着いて~!ハム美さんがぁあ‼」
「ああああ!ハ、ハナちゃん~!とって!とってぇ‼」
「まず止まって!そ、そうだ深呼吸、深呼吸して!その間にとるから!せーのっ!」
「すぅぅぅう‼はあぁあぁあぁ!はやくー!ああああ」
「……はい。とれた、もう大丈夫よルル兄ィ!それよりも!ハム美さん大丈夫ですか!」
「イタタタタ……ありがとうハナちゃん、いや『それよりも』って。」
ハナは、ルルから引き離した気絶しているハム美を、左腕に抱えて右手で優しくトントンする。
「ん〜。っは!!」
「起きた!良かった!大丈夫ですか?」
「わ、私としたことが!大変失礼致しました。ありがとうございます。では、降ろしてください。」
ハナはそっとルルの前に降ろす。
「初めまして、ルルさん。私は神様兼社長の秘書を勤めている。ゴールデンハムスターのハム・ハム美と申します。
先程は、ルルさんの大切なお鼻を叩く蹴る齧るなど、少し乱暴な起こし方としてしまい大変申し訳ございませんでした。」
ハム美は小さいクリーム色の体をさらに小さくさせた。
「ルルにぃ。私からもごめんね。あのまま起きなかったら、ルルにぃ、多分死ぬ所だったの。神様が、『はじめての生きてる者を意図的に呼ぶから、どうなるか分かんないな〜』って言うから怖くて……。それなのにルルにぃ起きなくて。だからハム美さんに協力してもらったの。」
ハナはよほど怖かったのだろう。体をプルプルと震わせて泣き出した。
「そんなに危ないところだったのか。ごめん。なかなか起きる事が出来なくて……。」
と、ハナを慰めるために撫でようとすると、「ダメですー!!」とハム美がルルの顎に目掛けて勢いよく飛んだ。
「ぐはっ!げほっげほ。ハ、ム美さんどうしてですかっごほっ」
「失礼いたしました。ルルさん、ハナさんへのお触りはNGでございます。」
「はっ。お触りって、変な言い方をしないでください!ハナちゃんが泣いているから慰めようとしただけです!」
「それでも!それでもダメなんです!コレは、あなたの命に関わる問題、そしてハナさんの魂に関わる問題なんです。」
「そ、んな…なんで、どういう事ですか!説明して下さい!」
「それはこれから会う社長から説明されます。私が言われた注意事項は、ルルさんとハナさんを触れさせない。そして、こちらに着いたら必ず起こす。ただ、それだけです。」
では、ついてきて下さい。と言うと、ハム美は小さい電動スクーターに乗ってゆっくり走り出した。
「ちょ、ちょっと!」
「ルルにぃ。ありがとう、色々ごめんね。」
ハナはそう言うと、ハム美の後ろを歩き出した。
「ーーーっ」
ハナと会えた嬉しさと、泣くハナを慰めるために触れることが出来ない悔しさを抱えて、ルルも歩き出した。
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