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女船長と惑星の女
イーティアは女船長だ。
どれくらい長い間そうしているのか、覚えていないほど長い間。
彼女の船は宇宙を旅する。
まもなく、ある惑星が船に近づいてくる。
惑星をかすめてゆくとき、船は惑星の周囲を取り囲む大気圏に接して、船底についた貝殻を落とす。
落ちるとき、貝殻は燃えて、下界で”星”と呼ばれる光になる。
光は、下界のそこここに、雪のようにふわふわと降り積もる。
惑星の人々は、それらを「流れる星」と呼んで歓迎した。
積もった光は、「星屑」とも呼ばれる。
流れる星には、願いを叶える力があると信じる人々もいる。
むろん、それは迷信だ。
それでも、大気へと流れ落ちてゆく貝殻が人々を喜ばせることを、イーティアは愛する。
人々の喜びは、人々自身を強くして、彼らが彼らの望みを叶えるのを助けるから。
小さな惑星に閉じ込められた人々は、本当は彼ら自身が恒星であり、宇宙であることを知らない。
船長はじめ乗組員たちは、惑星とそこに住む人々を愛し、惑星をかすめて通るときには、非番の誰もが望遠鏡で惑星を眺めることを好む。
イーティアは惑星を見ていた。
そして、あるひとりの女に目を留めた。
女は、街に流れ落ちてくる星屑の光を、必死になって集めていた。
彼女の息子は、光を嫌っていた。
少年は、何かを見ることを恐れ、闇にくるまれて、ただ眠ることだけを願う。
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