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少年と母親
母親の名前は、ダエラといった。
ダエラは、息子に光の世界を取り戻させようと必死だった。
街路に落ちる星屑を集め、籠いっぱいにそれらを詰め込む。
彼女の息子は、光を嫌い、何も見たがらない。
彼はいつも闇に閉じこもり、カーテンを引いて、日光はおろか、月明かりすら恐れている。
なぜ恐れるようになったのか、ダエラにはわからない。
けれど、以前の彼女と夫との激しいいざこざが、まだ小さかった息子に悪影響を与えたのかもしれない。
彼女はそう思っていた。
ある日、夫は二人を捨てて、どこかへ出て行ったきり、帰ってこない。
ダエラは、そのことにほっとしていた。
彼はしばしば、二人に暴力をふるったからだ。
身体的な暴力だけでなく、言葉による、心への暴力も。
けれどダエラも、言葉による暴力は、ふるっていたかもしれない。
夫に対してだけでなく、小さかった息子にも。
そしてまた彼女は、ほっとしながらも、夫のいない生活を嘆いてもいた。
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