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 息子は小学二年生だが、娘はまだ年少さん。私が付き添い出来ない現在、お泊りに行かせるのはまだ早い。かと言って、ずっと楽しみしにていた息子に「妹が可哀想だからお泊り中止」と言うのも可哀想だ。 「ごめんね? ママが怪我してるばっかりに……ママの足が治ったら一緒にお泊り行こうね?」 「やだあ!! ダメなの!! 治ってからじゃダメなのぉ!! ぎゃあああーー!!」  その後も義姉と一緒に説得するも、何と言い聞かせても泣き止む事はなかった。私は仕方なく、泣き喚き暴れる娘を膝に乗せて座ったまま階段を上り、膝立ちで抱っこして寝室のベッドまで運ぶ。  もう息子達は車に乗って行ってしまったので、泣き喚きながらもベッドに行くのは嫌がらなかった。 「ひっ、ごっ、ごれ、読むぅ、ひぐっ、うえぇえっ」 「あ、絵本は読むんだね。いいよ〜読もっか」  泣きながら絵本を選び、泣きながら絵本を読み、泣きながら目を瞑る娘。泣きつかれたのか、電気を消すとすぐに眠ってしまった。  可哀想に夢の中でも泣いているのか、その夜娘は何度も何度も「だめなのぉ……」と寝言を呟いていた。
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