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 次の日だった。  佐山くんがフロアーですれ違いざまに、おっ、と目を見開く。 「何かあったか?」  「え? そんなのわかる?」  見てわかるぐらい違いがあるんだろうか。  気分が顔色に出るなんて、子どもみたいだと恥ずかしくなる。 「何て言うか……今日は、スッキリした顔してるぞ」  佐山くんは、少し言いにくそうにする。  それでも、悪い意味ではないらしい。スッキリして見えるなら、昨日、機織りをしたからだろう。 「昨日さ、神明に行ったの」 「え? そこで何した?」  佐山くんは、勢いこんで聞いてくる。 「ん? 何したって、織物だよ。私がつるの恩返しみたいに、機織りしたの」  私が布を織るジェスチャーをすると、佐山くんは「へええー。機織り?」と、話が見えないような反応をする。  それで、石田縞のことを説明する。  その中で、復活させたということに関心を持ったようだった。 「それは昔の人がていねいな、いい仕事してたってことやな。やっぱり、一つ一つ真剣に仕事してかなあかんってことか」  うんうんと、かみしめるようにうなずいている。  へえ、この人って、こういう考え方するんだと、新鮮に感じた。
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