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 昔からそうだった。 「おまえ、いいやつやなあ」 「おまえは、気つかわんでいいし楽やな」  いつも、そう言われた。  女子力が無いのはわかってる。  それに、変に女の子扱いされるのは、性に合わない。  仲間感覚でワイワイ楽しい方がいい。  ずっとそう思ってきた。そのはずだったのに。  同期入社の川本浩平のことが気になり出したのは、いつからだろう。  彼が営業から戻ると、目で追うようになった。  カラオケでいっしょに歌ってハイタッチした時から?  ドライブに行って、冗談で盛り上がった時から?  川本の大きい手の平で、頭をポンポンされた時?  そう、あの時はドキッとした。  自分でも顔に出たんじゃないかと焦った。素早く周りを見回した。  でも、誰も気づいていないみたいで、ほっとした。  だから何日かして、もう一人の同期の佐山くんに指摘されて、びっくりしたんだよね。 「何や秋野。川本のこと、気になる?」 「何のこと? 別にそんなことないよ」  とぼけた顔を装い、さりげなく否定する。 「ふうん。気が合ってると思うけどな」 「そ、それだけだよ。友達のノリ」 「告ってみれば? 変化があるかもしれんぞ」 「だから、そんなんでないって」  慌てて自分の席に戻る。
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