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1.
昔からそうだった。
「おまえ、いいやつやなあ」
「おまえは、気つかわんでいいし楽やな」
いつも、そう言われた。
女子力が無いのはわかってる。
それに、変に女の子扱いされるのは、性に合わない。
仲間感覚でワイワイ楽しい方がいい。
ずっとそう思ってきた。そのはずだったのに。
同期入社の川本浩平のことが気になり出したのは、いつからだろう。
彼が営業から戻ると、目で追うようになった。
カラオケでいっしょに歌ってハイタッチした時から?
ドライブに行って、冗談で盛り上がった時から?
川本の大きい手の平で、頭をポンポンされた時?
そう、あの時はドキッとした。
自分でも顔に出たんじゃないかと焦った。素早く周りを見回した。
でも、誰も気づいていないみたいで、ほっとした。
だから何日かして、もう一人の同期の佐山くんに指摘されて、びっくりしたんだよね。
「何や秋野。川本のこと、気になる?」
「何のこと? 別にそんなことないよ」
とぼけた顔を装い、さりげなく否定する。
「ふうん。気が合ってると思うけどな」
「そ、それだけだよ。友達のノリ」
「告ってみれば? 変化があるかもしれんぞ」
「だから、そんなんでないって」
慌てて自分の席に戻る。
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