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200個目のてるてる坊主を吊るす時、私の気持ちはずいぶん楽になっていた。ふと涙がこぼれそうになるけれど、それほど気分は沈まない。窓の外ではまだしとしと雨が降るけれど、雲の切れ間から光が見えるようになった。
「もう少ししたら会えるかしらね。愛しいあなた」
目の前にいない恋人を想って笑うと、玄関をノックする音が聞こえた。慌てて玄関に駆けつけて戸を開けると、そこにはほがらかに笑うあなたがいた。
「やあ、今回はずいぶん長かったね。やっと君に会いに来れたよ」
高い背、すらりとした体、筋肉はあるけど無駄がない。よく晴れた空のような青い瞳と、朝の明るい金色の日差しのような金髪。彼の胸の中に飛び込むと困ったように私の頭をなでた。
「君が泣くと雨が降って、僕は会いに来られない。君の心が明るくなるように、太陽の日差しをこめた欠片を渡したろう?それは一体どうしたんだい?」
「ごめんなさい。盗られてしまったの。もう一度くれるかしら?」
「それで泣いていたのかい?いいよ。その代わり、君のこぼした涙を全部もらおうかな」
彼は明るい笑い声をあげた。そう、私の恋人は太陽の化身。
私は泣くと雨雲を呼んでしまう哀の天使。しかもこぼした涙が水晶にかわるのだ。この水晶は人の気持ちを癒し浄化し、清らかにしてくれるらしい。
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