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「確かに!ホテル代か!そうだよな。家じゃ、親、いるしなぁ」
「だろ?」
富田が何故か自慢げに顎を上げた。すると、鳥越はププっと吹き出して、
「まぁ、最悪、俺に言え。ホテルがわりにいいとこ紹介してやる。うち、金だけはあんだよ」
と言って親指を立てて自分の顔に向けた。
「お前んち、金持ちなの?」
俺が聞くと、鳥越は「あー」とか言って上を向いてから、ニカッと笑った。
「鳥越総合病院、うちの親がやってんだ」
鳥越の言葉で、俺と富田は驚いて身を乗り出した。
「マジかよ!!!」
「かたっ苦しいんだ。病院なんて。でも気にすんな。俺は末っ子だし、継がないから、俺だけ自由なんだ」
鳥越はそう言ってるけど、なんだか少し寂しげに見えた気がした。本当は、複雑な事情とか、あるのかもしれない。でも、そんなことを言う必要は、ない。
「じゃ、なんかヤバイ時は頼むよ!」
俺が笑って言うと、鳥越はまたニコッと笑った。
富田は何かと顔が広くて、週一で合コンを持ってくる。学校で仲良くなった他のクラスの子とか、ガソリンスタンドの前を通り過ぎる見知らぬ女の子にまで。これは天性のものかな。
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