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「私、今、フリーなんだけど。坂井くんは?」
「俺も。何?じゃ、ちょっくら味見してみる?」
「是非。味見どころか、もっと…」
そう言って彼女は顔を近づけてきて、俺はその唇を塞いだ。女の方からいきなり舌を入れてきた。
積極的な女だなぁ。
唇が少し離れると、
「こういうの、嫌い?」
と言って女は俺にしがみつくと、
「まさか」
と俺は言ってニヤリと笑い、今度は俺から舌を入れるキスをして、そのままソファに押し倒した。
*
俺は瞼を擦りながら教室に入ると、また女子がおさげの女をいじめている。今度は頭から水をかけられたのか。俺はうんざりしてそいつらを見ながら窓際の席につくと、鳥越と富田もそばに来て、
「さすがに陰険だろ。どうする?坂井」
と富田が言うと、鳥越は頭を横に振って、
「女のゴタゴタはきらーい」
と言って机に顔を伏せて目を閉じた。
「その髪も切っちゃえば?!」
と女たちが言ってハサミを取り出すと、さすがに俺はいたたまれなくなって、椅子から飛び降りてそいつらの元に駆け寄り、ハサミを持つその手を掴んで止めた。
「それくらいにしとけよ!やりすぎ!!」
俺が怒鳴ると、クラスのみんなは驚いて俺を見つめた。鳥越も驚いて富田と顔を見合わせている。
「…あんた、何よ?!」
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