序章 恋愛の資格は剥奪された

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俺のの女の子は、俺のことを好きだと言ってくれた子だった。 名前も性格も、好みさえもよく知らない同級生。まだ中学生だけど、少し胸も膨らんで目立つようになってきた年頃か。でも、可愛らしい子だった。明るくて素直で、照れながらも、声を上げてよく笑う子。 好きだって言われて、じゃ、付き合う?ってなって、次の日にキスをした。生徒玄関の角で。長い髪をいつも後ろで一つに結い上げて、男子にも人気があった。 学校の帰り、その子の家に寄って、初めて抱いた。俺も初めてだったし、その子も勿論初めてだ。それでも、本能でやり方は分かる。でも、その頃はあまりよく分かってない。動物的な感想だけ。 《ま、こんなもんか。》みたいな。 気持ちいいし、女の体も興味はあったけど、のめり込める感じではなかった。ま、またやれれば、それでいいな、みたいな感覚だった。 その翌日だったか。 土曜日だった。午後、クラスの友達と遊んだ後、その女の子と待ち合わせしてたけど、俺はすっかり忘れてて、みんなでカラオケボックスではしゃいで、疲れて寝ちゃったんだ。夕方暗くなってからみんなと分かれて、家に着く頃、思い出した。 「あれ、そういえば約束してたっけ」 そう思ってすぐに携帯電話に電話をかけたけど、出なかった。メールもしたけど、返事もなくて。 だから、その子にもきっと他に予定でもできたのかと思って、俺は自宅に帰ってきたんだ。
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