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俺が言うと、南崎は俺を睨みつけて、
「最悪…!まさか、…クラスの子と来てるの?」
と訊ねると、俺は大きく頷いた。南崎は顔を上げて、向こうのデッキチェアでハーレム状態の鳥越を見ると、
「ほんと、最悪。馬鹿じゃないの?女に囲まれて…」
とブツブツと呟いている。俺は腕を組んで南崎の顔を覗き込むと、
「あんた、もしかして、鳥越のこと、気になってる?」
と聞いてみると、南崎はヘラを鉄板に落としてしまった。
「きゃっ!!ううっ!!」
マジか。カマかけただけなんだけど…。おもしれぇ。この堅物の女が、あんなチャラい鳥越を…ねぇ。
「ち、ち、違うわよ!!勝手なこと言わないで!私はチャラい鳥越を嫌ってるの。あんな軽い男、絶対に嫌。大っ嫌いだわ!」
「嫌い…ねぇ。それより。焼きそば、まだ?」
「いますぐできるわよ!!それより、部活、またサボってるでしょ!」
南崎は落としたヘラを、もう片方のヘラで掬い取って、またそばを炒めながらそう言うと、俺はぷいっと横を向いた。
「まったく。どいつもこいつも、勝手なのばっかり」
まだ南崎がブツブツ言ってると、俺はまた南崎を見て、
「じゃあさ、俺たち、ちょっと付き合ってみない?」
と身を乗り出して言うと、南崎は俺を見つめた。
「え?熱中症でとうとうイカれた?」
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