334人が本棚に入れています
本棚に追加
/183ページ
「俺、今日帰りは別々な!」
「え?なんで?ホテル寄ってかねーの?」
「海の帰りはさすがにしんどい。え?お前どうすんの?二人連れてくの?元気だなー」
俺は目を丸くして鳥越を見ると、鳥越はニヤニヤ笑っている。
「おもしろそうだし。女は積極的だし。王様気分だよ」
「俺さ、南崎と付き合うことになった」
俺が焼きそばを食べる手を止めないまま言うと、鳥越の眉がピクンと動いた。
「え?な、なんで?」
「そこでバイトしてた。お嬢様っぽいくせに、海の家でバイトなんてしてるよ。凄いな」
「ふぅん」
明らかに、鳥越のテンションが下がった。
へえ。こいつでも、こんな顔するんだ。え?もしかして、鳥越も南崎のこと、気になってんの?え?まじ?鳥越の中じゃ、絶対あり得ない女かと思ったのに。
「いいよな?付き合っても?」
「いいんじゃね?好きにすれば?」
「へいへい」
俺はそう言って、また焼きそばを食べていると、チラッと鳥越を見てみた。なんか、感情の読めない顔だ。テンションが下がってるだけ。
おもしろーーい!!
そうして、俺は南崎と付き合うことになった。
が、学生生活の中で、唯一手も足も出せなかった女だ。
キスをしようとしても、避けられた。
手を繋ごうとしても、「触らないで」。
最初のコメントを投稿しよう!