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南崎の部屋に行っても、ベッドに座らせてくれない。
「これじゃ付き合ってるって言わなくね?」
学校帰り、一緒に歩きながら俺が言うと、南崎は俺を睨みつけて、
「あんたの言う『付き合う』って、全部そういうのをしなきゃなんないの?」
と言うと、俺はため息をついて頷いた。
「年頃だから?だってそれ以外にやること、ないし」
「は?!馬鹿じゃないの?サイテー!付き合うって、そういうことじゃないでしょ。デートしましょ」
「でーーーと?!」
最も苦手とするやつだ。
富田みたいに楽しいことや面白いことは言えないし、鳥越みたいに女を口説き落とせるような甘いセリフも知らない。
退屈させて、フラれることもしばし。
とりあえず、南崎とデートというものに出かけてみた。南崎は雑貨屋を回ったり、カフェに寄ったり。
もう、かったるいのなんの!!
帰りたーい。手も繋げない。肩にも触れられない。キスも無ければホテル行くこともない。
これ、なんのおままごとなんだよ。
これが、普通の女がしたい「デート?」。
無理だ……!
「ちょっと、坂井」
南崎が立ち止まって、振り向きざまに俺を睨みつけると、俺はポケットに手を入れて南崎を見た。
「は?なに?」
「もう少しさ、話題とか、ないの?楽しい会話とか、出来ない?」
「え?なんて?なんで?俺、富田とかと違うし。話題なんてねぇよ」
「よくそんなんで女を取っ替え引っ替え出来たわね!」
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