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南崎は腕を組んで怒っていると、俺は頭をかいて横を向いた。
「デートなんかしないもん。すぐホテルとか行くし」
「乱れてる…!!」
南崎の冷たい眼差しに、俺はため息をついた。
「楽しませることもできないで、何、モテてる気になってんの?だっさ…。悪いけど、やっぱ坂井とは、無理」
「は?」
「つまんない。楽しくない。ドキドキしない。あんたとは、一生無理だわー」
南崎はきっぱりとそう言って、さっさと歩いていって、いなくなってしまった。俺は頭をポリポリかいて、
「なんだよ、まったく!」
と呟いて辺りを見回してみた。ここはファッションビルで、洋服やら雑貨屋、レストランが入っている。岐阜駅前の大きなショッピングビルまで連れてきといて、ここでポイされるとは。コーヒーでも飲んで帰るか…。そう思ってコーヒーショップに向かっていると、
「あれー?理?理じゃん?!」
と聞き慣れた女の声が聞こえてきて、ギクッとして立ち止まった。
振り返るか?
いや、このまま聞こえないフリで逃げ切れば。
「シカトすんな、このクソガキが!!フルネームで呼ぶぞ」
そう言われると、ため息をついて仕方なくゆっくりと振り向いた。
そこにいたのは、俺の姉貴、坂井仁美だ。現役大学生で、口が悪いし手も早い。(暴力の意味で)
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