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長いストレートの髪を下ろして、化粧もしてるし、人目には美人な方なのかも。でも、暴力的で口の悪い姉貴には、男どもは頭が上がらない。
「何やってんの、こんなとこで。珍しい。買い物?」
「別に。そこでオンナにフラれたとこ」
「ダッサ…!じゃ、暇?買い物付き合って」
「えぇ?やだよ。なんでお前と並んで歩かなきゃなんないんだよ」
俺は姉貴から離れて歩き出すが、姉貴に首根っこを掴まれて、
「卓(末っ子)が逃げたから、あんたでいいよ。付き合って。コーヒーくらいおごってやるから」
と言って、とっとと歩き出してしまった。もうこうなると、逆らえない。同級生たちに会わないように歩いて行こう!
こんな男勝りな性格のくせに、服のセンスにはうるさい。姉貴は洋服を選びながら、
「うん。これいいわね。これと、これと…。ちょっと。しっかり持ってなさいよ!」
と俺にハンガーごと洋服を預けてくる。
「勘弁してくれよ」
「ねぇ、こっちとコッチ、どっちが私に似合うと思う?」
ワンピースを2着出して自分の体に交互に当てながら、俺のほうに向き直って言うと、
「どっちでもいいんじゃね?」
と適当に答えた。ホントにもう帰りたい。
「適当に答えるんじゃねぇよ!どっちが似合うのかって聞いてんの!」
と姉貴が凄むと、俺はため息をついた。
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