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「今後デートする時に、男のセンスは重要なんだよ。どっちを選ぶか。ほら。考えなさい!」
「ええぇ?!」
俺は膨れたけど、もう逃げられないし、言うことを聞いておくしかない。
「えーと。んじゃ、こっち」
「なんで?」
「え?理由もいるの?」
「当たり前でしょ?数学みたいに正確な答えなんかないんだから、あんたの感性の問題よ。さあ。理由は?」
これ、なんの講義ですか?
周りに人も集まってきた。
目立ってるんですけど。バカ姉貴!
「あー、うー、そーだなぁ。じゃ。さっきのは撤回。こっちの黄色のワンピは、姉貴の肌が日に焼けてるし、なんか、似合わない。フレアスカートなんて、ガラじゃない。こっちのグリーンの方が姉貴っぽい。少し落ち着いて見える。凶暴に見えない」
「凶暴?!」
姉貴の右の眉毛がピクンと動いた。ハイ、減点ね。
「膝丈より上の長さが、短すぎなくて、清楚な雰囲気があって、いい。髪をちゃんとブローして、目元を描いて。合コン行けば、堕ちるんじゃね?」
俺がそう言うと、姉貴は頭を横に振って、
「まだまだ、45点だな。そんなんじゃ、女の子は喜ばない。クソだな、理。いつか彼女に服を選ぶとき、苦労するよ。もっと、その服を着たとこを想像して、考えてあげなきゃね。本気で誰か好きな女の子ができた時は、手取り足取り、私が指導してやる」
と腕を組んで言うと、
「姉貴にだけは紹介しないと思うぞ」
と呟くと、周りにいた人たちは声を上げて笑った。
「見せもんじゃねーんだよ!」
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