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「あ、松田だろ?松田夏菜子!髪伸びたし、化粧までして、髪型も癖っ毛だったのにストレートになってるから分かんなかった!」
と富田が言って鳥越と富田が彼女の前に立つと、彼女はにっこり笑って、
「その節は、お世話になりました」
と丁寧に挨拶をした。俺は口笛を吹いて席に着くと、頬杖をつきながら隣の席の松田をじっと見つめた。
「全然違う。すげえ美人…!なんだよ!ビックリした。教室間違えたかと思った!」
「そ、そんなこと…」
松田夏菜子はもじもじしていると、鳥越がさっそく口説き始めた。
「松田。今日一緒に帰ろうぜ」
鳥越がそう声をかけると、俺と富田は顔を見合わせて笑い合った。
誰かが声を先にかけたら、大人しく身を引くのが、俺たちのルール。まぁ、美人は、鳥越に譲るか!
入学早々いじめられていた松田夏菜子。
お下げにしていた長い髪を切られそうになって俺が庇った。いじめていたケイコとは少しだけ付き合ったけど、すぐに終わった。富田と鳥越もあれから松田を庇ってたから、このクラスもいじめがなくなり、松田のこともすっかり忘れてた。松田も今ではクラスで友達もできたようで、楽しく笑っている。
その翌日。
朝、教室にはいると、鳥越がやってきて俺の腕を掴んで、
「ちょっと顔貸してもらおーかな」
と言って自販機のある談話室前までやって来た。
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