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「なに?珍しい。こんなとこ連れてくるなんて」
俺は眠くてその場に蹲み込んだ。すると鳥越も俺の前に蹲み込んで、
「あの女は、ちょっとクセモノだ。腹黒い」
と話し始めると、俺は頬杖をついて目を閉じた。
「いきなりなんの話してんの?」
「松田だよ。松田夏菜子。昨日あいつと寝たんだけどさ。その後になんて言ったと思う?『初めて』だと、お前に受け入れてもらえないから、俺に抱いてもらったんだって」
「は?」
俺は驚いて目を開けた。鳥越はため息をついて、俺の前に床に尻をつけて胡座をかいた。
「で、俺とはそれっきりで終わりだって。こんな仕打ち初めてだよ。チクショー!お前がバージンの女は受け入れないなんてあちこちで言うからだぞ!どうしてくれんの?俺は、泣きたいっ」
初めての失恋か?!いや、プライドを傷つけられたのか。
俺はため息をついて、鳥越の肩を軽く叩いた。
「で、どうして欲しいの?俺に」
俺が言うと、鳥越は腕を組んで、
「うーん。俺とヤッてすぐに譲るのはシャクだけど、お前があいつと付き合えば、チャラかな」
と言うと、俺は目を丸くして仰け反った。
「えぇ?!やだよぉ!そんな腹黒い女!」
「でも、美人だし、ハジメテのわりには感度もいいから、お前好みじゃないか?俺に泣きながら頼んできたんだよ。坂井と付き合いたいんだって。いじめてられてたのを助けてくれた時から、決めてたんだって」
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