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「でも、俺、デートしないよ。カフェとか、買い物とか、しない。一緒に帰るくらいはしてもいいけど。彼女と言っても…何するってわけには」
「私は坂井くんの彼女になりたいだけ。一緒にいれば、私のこと、好きになってくれるわよ。私のこと知りたくなったら言って。なんでも答えるから。私、誰よりも坂井くんのこと、大好きなの。助けてもらったあの時に、運命的なモノ感じたんだもの」
運命?
そんな言葉、本当に口に出す人って、いるんだな。
頭の中に、昔のあの子の面影が蘇る。
大好きだよ、坂井くん。
私を見て。
私のこと、いっぱい知って。
私は、誰より坂井くんのこと、大好きなの。
真っ直ぐな想いは、時々心を揺さぶられる。居心地は、いいもんだ。
「じゃ、いいよ。付き合ってみる。だけど、これだけは先に言うよ。俺は、この先も、誰のことも本気で好きにはならない。別に人が嫌いなわけじゃない。みんな平等に好きだよ。でも、誰にも恋愛しない。恋もしないし、愛さない。そのことを理解してくれるなら、付き合うよ」
俺が顔を近づけて言うと、松田は微笑んで俺の腕にしがみついた。
「いいの。そばにいられれば、それでいいの。嬉しい!坂井くん」
「坂井、でいいよ。お前のことは?」
「夏菜子、がいい。坂井」
「夏菜子ね。じゃあ、出る?」
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