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俺が昼寝をしていると、ドアがノックされて、
「あの、坂井くん、いますか?」
と小さな声が聞こえてきて、俺はうっすらと目を開けた。聞いたことがない女の子の声だ。
「開いてるよ」
「は、はい」
ゆっくりとドアが開くと、ショートカットのつぶらな瞳の女子が、俺に歩み寄ってきて、
「私…3組の向原って言うんだけど」
と話しかけてくると、俺は眉をしかめて向原を見つめた。
「…話したこと、あった?」
「ない、かな」
「座れば?別に取って食いやしないし、その気がないなら別に手を出さない」
と俺が言うと、向原は目を丸くして、
「手当たり次第じゃないの?」
と聞いてくると、俺はプッと吹き出した。
「失礼なっ!同意があればするけど。別に飢えてない」
「…じゃ、話、出来る?」
向原に俺の真横に腰を下ろして言うと、俺はまた目を閉じた。
「話?難しい話は苦手だぞ」
「3日前、裏庭のベンチで待ってるっていう伝言、聞いてない?」
「3日前?」
俺は目を開けて、首を傾げた。
「聞いてない」
「ほんとに?!」
向原は俺の腕を掴んで言うと、俺は少し引き気味だ。
「知るかよ。そんな約束した覚えはないし、伝言…?も、聞いてない…それが何かあった?」
向原の瞳に涙が溢れてくると、俺は驚いて起き上がり、ベッドの上で向かい合わせに座った。
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