Chapter1 遭遇

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 「お姉ちゃん!」  「…!」  若葉の大声で、私の思考は元に戻った。  「どうしたの?ボーッとして…。具合でも悪いの?」  「あ、ううん、大丈夫。ちょっと昔の事思い出してね…。」  「昔の事?」  「ほら、昔さ、私と若葉、一度生き別れちゃったでしょ?その間、実は私も寂しかったんだ。  あんなに可愛がっていた妹と離れ離れになって…。今思えば、私は悪いお姉ちゃんだなぁって、そう思っただけ。」  「……。」  ああ、黙り込んじゃった。  …と思ったら、若葉の口が開く───。  「そんな事ないよ。」  「ん?」  「私は、お姉ちゃんが大好きだよ。昔からずっと。こんなに寂しかったんだから、嫌うなんてありえないよ。  もし嫌ってたら、寂しがってない。お姉ちゃんもそうだったと思うよ。」  「若葉…。」  今まで可愛がってた妹にそう言われると、何だか安心する。  嫌っていなくて良かったと、心から思えた。  「そろそろ行こうか。濡れるの嫌だし。」  「え?うん。」  私はそう言って立ち上がる。  今から向かうのは、私の家。  まあ家って言うより、巣に近いかな。  何せ狭いし、長い間借りてるみたいな感じだし。  「ふえぇ~、ここがお姉ちゃんの…。」  「まあ、巣みたいなものだけどね。」  マンホールを開けた下水道に、テントが一つ建てられている。  あれが私の巣。  これなら家賃もいらないし、慣れれば寧ろ住み心地が良い。  え?体洗うのはどうしてるかって?  ……。  それはご想像にお任せするかな。  「土足でいいよ。何も敷いてないし。」  「あ、うん。」  そう言うと、若葉を中に入らせた。  ただの貧乏生活に見えるかもしれないけど、全然問題ない。  「ずっとここに住んでるの?」  「うん。ここなら好き勝手できるかと思って。」  「て、適当だね…。」  まあ確かに適当っちゃ適当だけど。  「でもなんか、住み心地良さそう。よく長い間住めたね。お姉ちゃん。」  「慣れたら寧ろ良い場所だよ。」
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