Chapter1 遭遇

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 「うぅ…、へへ…、やっぱ噂通りだな。あんた…。」  「はぁ…、はぁ…。」  手強い相手だった。  途中で三角飛びしたり、宙返りして避けたり、何かと厄介だった。  照り付ける日差しや、結構動いたせいか、汗がだらだらと流れてくる。  とてもじゃないけど、止まりそうにない。  「ま、おかげで楽しい決闘ができて、俺も満足だ。  だが、次は負けねえからな。俺の顔覚えとけよ!  …んじゃ!!」  そう言うと、青年は行ってしまった。  「…とんだ見掛け倒しだったな…。」  「お姉ちゃん!大丈夫?」  戦いが終わると、若葉が駆け寄ってきた。  「うん。問題ないよ。…ちょっと手こずったけどね。」  「それよりも今の人…、すごい動きしてたよね。武闘家か何かかな…。」  「…まあそれよりも、動き回ったらお腹減っちゃった。どこかに食べに行く?」  そう言うと、若葉はうーんと悩み込む。  まあ、そうすぐ思い付かないか…と思ってた。  「じゃあ、久しぶりに牛丼でも食べに行く?」  「…え?」  「お姉ちゃん、ずっと食べたいって言ってたでしょ?だから!」  ああ、そういえばそんな事言ってたっけ。  …にしても若葉、そんな昔の事よく覚えてたね。  「そうだね。じゃあ牛丼食べに行こっか。お金はお姉ちゃんが払うよ。」  「うん!」  まったく、いつになっても可愛いなぁ。若葉は。  そんな事を思いながら、私は若葉と手を繋ぎ、牛丼屋へ向かった。  そこで、最悪のトラブルが起きる事を知らずに───。  現在、牛丼屋。  「お、空いてるね。」  「なんか珍しいね。いつもは混んでるのに。」  「今日はたまたまじゃない?とりあえず、券取ろっか。」  私はそう言うと、発券機へと足を運んだ。  ここの牛丼屋は前払いである。  そこで何を食べようか考えていた時。  「お姉ちゃん。」  「ん?」  「お姉ちゃん…、結構胸元膨らんだ?」  「…は?」  私は若葉の話している事に、思わずキョトンとした。  「お姉ちゃん身長も伸びたし、胸元も…。」  「…ちょっと、それはここで話すものじゃないよ。」  「えぇ、だって気になるじゃんか。」  …いや、いくら妹でもここではそんな事話し難いって。  「はぁ…。後で教えてあげるから。」  「あぁ、そう…。」  まったくもう…、若葉ったら…。  「ん、うま。」  カウンター席で、パクパクと肉やご飯を口へ運ぶ私と若葉。  今思えば、久しぶりの外食だ。  何が物を食べると、何故か父さんと母さんの事を思い出す。  でも今は、私と若葉の2人だけ。  少しだけ寂しい気もした。  「お姉ちゃんの牛丼、ちょっとだけ貰ってもいい?」  「ん?別にいいよ。ほら。」  こういう所は、昔と変わらない若葉のおねだり。  私は、若葉のその部分は別に嫌いではない。  寧ろ可愛くて好きな方だ。  「うん!美味しい!」  「そう?なら良かった。」  私が若葉の笑顔を見て、微笑んだ。  その時だった───。
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