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「ぐぅ…!」
「はぁ…、はぁ…。」
彼は、昨日より上達していた。
でも、私は息を切らせながらも、勝利を掴む事は出来た。
「畜生…!二度も負けるなんて…!
あんた…、まさか、凄腕なのか?」
「そんな所までではないけど…。」
「くそ!なのに何で俺が負けるんだよ!
あれだけ特訓してもあんたに勝てないなんて…、はぁ…。」
私に勝てない事に悔しがる彼。
すると、彼は座る体勢を整えた。
「…なあ、あんた。」
「ん?」
「…あんたは、何で刀なんてやってるんだ?」
いきなり、彼から問いかけられた。
私が刀を持つ理由…。一つだけならある。
「私はね、両親が殺されて、その仇を討つために刀を持ってるの。
この刀は、その両親から伝授された。強くなるために。
…あの頃は何もできなかった。ただ隠れて、親の死を迎えるだけでいた。
その誰かさんへの恨みを晴らすため。それが、私が刀を持つ理由なんだ。」
「……。」
そう語ると彼は、深刻な顔をして黙り込んだ。
でもその後すぐに微笑む。
「…そうかい。
あんたは…、両親のために刀を振る舞う訳かい。
俺もその気持ちはよくわかる。俺も…、家族を失った身だからな…。」
どうやら、私の事をわかってくれたみたい。
「ふぅ…、それにしても、何度挑んでもあんたに勝てないって事はわかった。
そんだけ気持ち強いもんな。あんたは…。」
なんだかお互いの気持ちが晴れて、快い気分になった。
「…そういう訳で…、俺ぁ決めたわ!」
「…?決めた?」
私は彼の発言に、キョトンとした。
すると、土下座をし始めた。
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